戦火続くウクライナ「鉄道の復興」はどうするか 線路幅はロシアと同じ、「EU加盟」の足かせに?

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ポーランドのウクライナ国境駅、プシェミシルに停車するウクライナ鉄道の列車と避難民ら(撮影:橋爪智之)
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今なお終わりの見えない、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻。世界各国が固唾を呑みながらその動向を見守っているが、どのような戦いであってもいずれは終結の時が来るはずだ。

鉄道も被害を受けているが、戦争終結後のウクライナ復興にはどのようなシナリオが考えられるのだろうか。

現在も多くの避難者を乗せ、ウクライナ鉄道の列車は走り続けている。2022年5月25日現在、ウクライナから避難した人は約666万人(UNHCR調べ)に達し、その多くが鉄道を利用したものと考えられている。有事の際に車を使うことは、渋滞を引き起こす可能性があることから極力避けるべきで、実際戦争が始まった当初は国境付近の道路で30km以上の渋滞が発生、長時間に渡って身動きが取れなくなるといったトラブルも発生している。

ロシアの破壊で運行できない路線も

多くのウクライナ国民は、政府の指示に従って鉄道で避難を開始、ウクライナ各地から西側の国境へ向けた列車は、多くの避難民を乗せて毎日運行された。だが4月に入ると、戦果を挙げられないロシア軍は、ウクライナ国民の動揺を誘うためか、避難者が多く集う駅へミサイルを撃ち込んで攻撃をするなど、鉄道施設への被害が拡大、駅への攻撃では多くの犠牲者を出した。また走行中の列車の目の前をロシア軍の戦車が横断するなど、運行の妨げとなるような行為も起こっている。

とくにロシア軍が制圧したとされるウクライナ東部では、ロシア軍の攻撃によって線路が破壊されたことで運行できなくなった路線も出てきている。

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