日立、アルストムから「高速車両技術」を買う理由 元ボンバルディアの車両、残る部分は中国へ?
日立製作所は12月9日、イギリスで建設が進む高速鉄道「ハイスピード2(HS2)」向けの車両を、同社の鉄道システム事業におけるグループ会社の日立レールとフランスのアルストムの共同事業体が受注したと発表した。
HS2は欧州鉄道界の一大プロジェクトであり受注はビッグニュースだが、実はその直前、もう1つ今後の高速鉄道車両市場に影響を与えそうなニュースがあった。
日立レールは12月2日、アルストムの保有していた高速鉄道車両プラットフォーム「V300 ZEFIRO(ゼフィロ)」に関わる関連資産などを取得することを決めたと発表した。日本のメーカーがグループ会社を含め、他国の高速列車プラットフォームを取得するのは初のこととなる。
イタリアや中国で採用
高速列車の技術に関しては、新幹線の製造で豊富な経験を持つ日立ではあるが、システムが大きく異なるヨーロッパでは、それだけに頼って簡単に他社と競合できるものではない。ヨーロッパの数多くの高速列車を製造してきた旧ボンバルディアが開発したプラットフォームの取得は、アルストムのTGVやシーメンスのVelaro(ICE)などが群雄割拠するヨーロッパ高速列車市場へ本格的に参入可能になったことを意味する。
「ゼフィロ」は、アルストムに吸収合併されたボンバルディアが開発した高速列車用プラットフォームで、現在はアルストムが一時的に保有している。これまで中国の高速列車向けに採用されたほか、イタリアのアンサルドブレダ(現・日立レール)がイタリア鉄道の高速列車「フレッチャロッサ1000(ミッレ)」の製造に採用した。
ゼフィロプラットフォームには複数の種類がある。最初に採用されたのは、2009年に最高時速250kmで設計された「V250 ゼフィロ」プラットフォームに基づく中国のCRH1E型で、その後、営業最高速度を時速380kmにアップした「V380 ゼフィロ」ベースのCRH380D型も誕生した。実際の製造は、ボンバルディアの現地合弁企業である中国中車青島四方機車車両で行われた。
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