日米「核の傘」強化と中国へ核軍縮を促す重大背景 日中関係と核兵器の半世紀、日本に求められる事

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日本が中国の核戦力に対して直接的に働きかけた例外的な事例は、民主党政権時の岡田克也外相の対中外交である。核軍縮問題に強い信念を持つ岡田は、2010年5月の日中外相会談において、中国の核政策について「核軍縮に関する約束を履行せず、世界各国が核軍縮を進める中で核兵器を増やしている」と強い懸念を表明した。中国の楊潔篪外相は「中国の立場は正当、透明で、非難されるものではない」と直ちに反論している。

日米核拡大抑止強化と中国核軍備管理呼びかけ

アメリカ国防省の中国の軍事・安全保障分野の動向に関する年次報告書(2021)は、中国が2030年までに少なくとも1000発の核弾頭を保有する意向を持つ可能性があることを分析した。この分析は前年の報告書で「今後10年間で少なくとも2倍の規模」と予測された水準をさらに上回るペースで、中国の核戦力の増強が進むことを示唆している。

中国の急速な核戦力の増強は、中国が最小限抑止を脱却し、確実に第二撃能力を担保する「確証報復」能力を獲得し、さらには通常兵器による軍事衝突をエスカレーション管理するための戦域核の使用や、アメリカに対する対兵力攻撃の可能性さえ考慮すべき段階に入ったことを示している。大陸間弾道弾の開発ペースの加速、原子力潜水艦搭載ミサイルの能力向上、非戦略核として運用可能な中距離ミサイルの配備、これらを支える核運用能力の改善などが、こうした見方を裏付ける。

また2022年のロシアのウクライナ侵攻の際に、ロシアがウクライナ侵略の早期段階から核兵器の使用を威嚇として用いて、アメリカや北大西洋条約機構(NATO)の直接的軍事介入を牽制したこと、さらに少数の核兵器を示威的に使用して相手に妥協を迫る「エスカレーション抑止」の有効性が着目されていることも、中国にとって確実に核兵器の役割を再評価させただろう。

こうした中で、中国の核戦力の増強と向き合う日本には、新しい次元で日米同盟の核拡大抑止を担保することが求められている。これはアメリカを射程に収める戦略核と、戦域で使用されうる非戦略核の双方を対象に、重層的な抑止構造が必要とされることを射程に置いている。

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