金融緩和政策の拡大と、TPPなど成長戦略を--岩田一政・日本経済研究センター理事長・元日本銀行副総裁《デフレ完全解明・インタビュー第3回(全12回)》

金融緩和政策の拡大と、TPPなど成長戦略を--岩田一政・日本経済研究センター理事長・元日本銀行副総裁《デフレ完全解明・インタビュー第3回(全12回)》

日本銀行副総裁を務めていた2007年2月、岩田一政氏は政策委員として利上げに唯一反対票を投じ、注目を集めた。日銀執行部内で票が割れたのは前代未聞のこと。物価の先行きの不確実性を懸念しての異議表明だったが、その後、デフレはまた息を吹き返し、日銀も非伝統的政策へと舞い戻っている。

近著『デフレとの闘い』の中でも、岩田氏はデフレへの積極的政策対応の必要性を主張しているが、政府・日銀の最近の対応を踏まえて今どう考えているのか、直接話を聞いた。

--著書の結びにも書いていますが、今回(金融危機後)の「デフレ竜」は前回よりも手ごわいと。

その第一の理由としては、リーマンショックによってGDPギャップが前回のデフレ時より大きく、消費者物価の下落率が前回よりも大きいことがある。しかも、11年8月には消費者物価指数の基準年の改定があり、0・5%ポイント程度、指数がシフトダウンすると見ている。

もう一つの理由は、デフレと膨大な政府負債という二つの問題に直面していることだ。景気刺激のための財政出動や社会保障改革の遅れもあって、公債のGDP比率が200%程度まで増大している。前回のデフレは不良債権問題との双頭の竜だったが、今回は債務が民間から政府へ移し変えられ、より手ごわい双頭の竜となって息を吹き返した形だ。

--デフレ脱却に必要な政策としては、まず日本銀行の「中長期の物価安定の理解」を明確にすべきだと主張しています。要するに、インフレ目標の明確化ですね。

日銀は10月初めに包括的金融緩和政策を発表したが、政策金利をゼロ%まで許容するとともに、「中長期の物価安定の理解」について、より明確化した。従来は0~2%(の物価上昇率目標)だったのを、少なくとも1%の物価上昇率が必要ということを日銀として実質的に認めたということだ。これは、03年に量的緩和の3条件を議論したときに私が主張していたことが採用されたものとして評価している。

当時、私は、1年強の予測期間しかなかったので、より長めの予測を出すべきだと申し上げた。特に、大きなショックが起こったときは、正常な状態に戻るのに時間がかかる。金融政策も効果が表れるまでに1年、2年の時間がかかる。そのため、中央銀行は5年ぐらいの期間をかけて判断していく必要がある。そして、どういう政策プロセスを経て、1%という物価上昇率の経済に戻っていくかを明示すべき責任があると思う。

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