「街づくりにはパン屋が最強」と言える7つの理由 日本における最強コンテンツをどう生かすか

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と書いておきながら、矛盾するのだがパン屋は意外に参入が難しい。素人が短期間の修業で店を始めるとしたら、カフェ、居酒屋のほうが機材も技術もなくて済むと思う人が多いのだ。足りていない地域もあるのに、参入する人も少ない業種、それがパン屋というわけで、これが5つ目の理由である。

パンという商品の特殊性にも理由がある。好きな人が多いという点は冒頭に挙げたが、実はパンを作りたい、パン屋さんになりたいという人も多いのだ。

それを示すのが、クラレが行っている「将来就きたい職業」というアンケート。新小学1年生女子を対象にした調査では、開始以来2021年まで23年連続で「ケーキ屋・パン屋」がトップで、全体の26.7%が憧れるという人気ぶり。神田川ベーカリーもその人気に支えられている。

「好きな人」に任せたら動き始めた

神田川ベーカリーでは職人を雇わず、若手スタッフ主体に、少人数で営業を始めたが、1年ほど経ったところで辞める人が相次ぎ、人手が足りず、廃業の危機に陥った。もともとパン屋をやるつもりで入った人たちではなく、また、1店舗しかない店では、勤め続けていても昇進など将来のキャリアがイメージしづらい。

そこで嶋田氏は方向を転換し、近所に住む主婦やパン作りが好きな人を採用。チームで代わるがわる仕事をする仕組みに変えることで危機からの脱出を図り、それが成功した。

神田川ベーカリーには、職人ではなく「パン好き」が集まったことが成功につながった(写真:筆者撮影)

「北九州で最初に10人、その次に40人という手作り品の女性作家を集めた空間を作ったことがあります。2回目のときにはそんなに多くの人が集まるわけがないと言われましたが、最盛期には70人いたほど。まち、特に住宅街の中には女性を中心に何かやりたい人、才能が眠っているのです。それをうまく、まちに引っ張り出すことができればにぎわいや経済の循環を作りだすことができますが、実はパンはそのための強力なツールだったのかなと思います」

現在神田川ベーカリーで働いているのは全体で15人ほど。週末は6人くらいで、夜は1~2人と時間、曜日によってばらつきがあり、働いている人もさまざま。大手サラリーマンで次のキャリアとしてパン屋を考えている人や、趣味として週末だけ働きたい人、いずれパン屋をやるための修業と考えている人などがおり、それぞれが自分の好きなように関わっている。共通するのはどの人も楽しそうであること。

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