養老渓谷で里山の再生に取り組むヨガ講師の挑戦 手つかずの日本の原風景を生かして地域活性化

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「夷隅の友人は転勤で離れていったのですが、その頃になると地方創生という言葉が若い世代にも浸透し始めていました。あるとき、岩手県で事業を展開されている社会起業家の方の講演を聞きに行ったんです。

過疎化、高齢化への取り組みといった社会課題の話というとどうしても暗くて重いイメージになりがちですが、この方は若くて活気にあふれていました。使命感を前面に出す演出感もなく、本職のシステムエンジニアの強みを生かした地域活性化の話をされていました。ワクワク感が伝わってきました。この講演を聞いて、地域おこしにがぜん興味がわいてきたんです」

 これ以上、東京にしがみついている必要はない。幸い、ヨガの仕事はどこでもできる。インドアだけでなく、今後は屋外でのヨガの需要も出てくるんじゃないか。母親が住む地域も過疎化、高齢化という大きな地域課題を抱えている。アウトドアを通じた人々の交流を地域活性化につなげられないだろうか。いろんな思いが脳裏に浮かんだ。そして、ある行動に出た。

アポなし、金髪で市役所の担当課を訪問

「とにかく行動に移したい。そんな思いが高じて市原市役所の地域問題の担当セクションを訪れたのです。今では考えられない話ですが、何のアポも取らずに突然行ってしまったんです。それも金髪ですよ。当然ですが、相手の方は驚かれて、明らかに戸惑っていました。

にもかかわらず、実に誠実に対応してくださり、前年から地域おこし協力隊のメンバーとして活動している男性を紹介してくださいました。そこから少しずつ、地域の方々との交流が始まり、2018年秋には菜の花畑でのヨガレッスン実現にもこぎつけました」

その後、五井駅近くにあるコワーキングスペースで、若者と市原市の市長との対話の場が設けられた。仲間に誘われて参加した掘さんも、市長を囲んでの地域活性化の議論に加わった。そのとき市長から地域おこし協力隊への応募を勧められた。

「『君、どう』という感じでしたね(笑)。ありがたいお話でした。もちろん、正規の応募手続きを経て申し込み、2019年6月25日に着任することになりました」

こうして晴れて地域おこし協力隊のメンバーとなった掘さんは、精力的に地域おこしに向けた活動を始めることになった。

山田 稔 ジャーナリスト

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やまだ みのる / Minoru Yamada

1960年生まれ。長野県出身。立命館大学卒業。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会、地方関連記事を執筆。雑誌『ベストカー』に「数字の向こう側」を連載中。『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』『分煙社会のススメ。』(日本図書館協会選定図書)『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』などの著作がある。編集工房レーヴのブログも執筆。最新刊は『60歳からの山と温泉』(世界書院)。

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