養老渓谷で里山の再生に取り組むヨガ講師の挑戦 手つかずの日本の原風景を生かして地域活性化
「プロのアスリートは、シーズンオフに日本に帰国してからも体のメンテナンスは続けています。筋トレが中心なのですが、そこにヨガを取り入れて体の左右のバランスの調整を行ったりするのです。マイナーリーグとはいえ、海を越えて活躍している選手ですから体格はいいし、骨格も恵まれている。
アスリート指導はこの選手だけでなく、アルペンスキーの選手なども担当させていただきました。こうして一般の方とプロのアスリートの両方の指導をさせていただいた経験が、その後の高齢者指導にも生かされています」
一般人、プロアスリート、企業・団体向けなどヨガ指導先は多岐にわたっていた。都内と千葉の複数のスタジオと契約し、仕事に明け暮れる日々が続いた。
養老渓谷との出会いは母親のある行動がきっかけ
そんな生活に変化がもたらされた。きっかけは母親のある行動だった。掘さんのご両親は下町の出身で、母親が空気のいいところで暮らしたいと、2009年に養老渓谷駅にほど近い市原市の加茂地区に一軒の家を購入した。
これが契機となり、この地に足を運ぶ機会が増えた。それから数年後、仲のいい友人が養老渓谷近くの夷隅に仕事の関係で居住するようになった。地域活動をメインとする仕事で、彼女と会うたびに「東京とは人間関係の構築の仕方が違う」「コミュニティーの仲間意識が強く、お互いに励まし合っている」といった話を聴かされ、琴線に触れるものがあった。虫たちが夕暮れに森の中からふわーっと出てくる房総ど真ん中の里山の日常の魅力にもはまりかけていた。
そして転機が訪れた。2018年のことである。
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