日本の事業会社:11年の見通し--格付けの安定化は続くが、改善の速度は不透明/その1・概要《ムーディーズの業界分析》


コーポレートファイナンスグループ
SVP- チームリーダー 谷本 伸介/VP-シニア・クレジット・オフィサー 廣瀬 和貞
小坂 則子 VP-シニア・アナリスト/岡本 賢治 VP-シニア・アナリスト
臼井 規 VP-シニア・アナリスト/澤村 美奈 AVP-アナリスト
高橋 良夫 AVP-アナリスト/斉藤 円 アソシエイト・アナリスト

●概要

日本の事業会社の格付けの傾向は、2010年に安定化に向かった。09年と比較して、10年の後半からは、ネガティブな方向での格付けアクションが減り始めた。四半期を追うごとに、格付けの見通しが安定的である発行体の比率が増え、10年末には世界危機前の水準にまでほぼ回復した。

現在までのところ、このように安定的な格付けの見通しが増える傾向は、中国をはじめとする新興国市場の需要の伸び、大幅なコスト削減、および何件かの増資の成功等の結果、財務状態が改善したことを反映している。すなわち、利益率の回復と財務レバレッジの低下が進んでいる。

ムーディーズの格付け対象会社の中で、10年に発生したデフォルトは1件(会社更生法適用の日本航空インターナショナル)だけである。このような低いデフォルト発生率は、日本の協力的な銀行システムの存在と、ムーディーズの格付け対象の大部分を投資適格先が占めていることによる。

一方、「ネガティブ」の格付け見通しの比率は依然として大きい。10年末時点で全体の18%がネガティブであったが、世界危機前は5%以下であった。これらの発行体に関しては、停滞する国内市場と、輸出の伸びの鈍化が予想されるという状況に直面する中で、世界不況によって弱まった信用力水準をどれだけ速いペースで回復していけるか、という点をムーディーズは懸念している。

11年のこれからを展望すると、格付けの安定化の傾向はさらに進むとみられる。それを支える要因となるのは、日本経済の停滞が続くと予想される中、伸びが鈍化しつつあるとはいえ、輸出の拡大であろう。

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