日本の事業会社:11年の見通し--格付けの安定化は続くが、改善の速度は不透明/その1・概要《ムーディーズの業界分析》


3. より積極的な設備投資とM&Aの増加
 海外売り上げの増加やコスト削減強化のために、設備投資やM&Aの増大によって海外投資の拡大を模索している企業もある。円高、日本における低金利、収益改善による企業のキャッシュフローの改善が、これからの1年間において、海外投資のサポート要因となるであろう。

10年における日本企業による海外M&A活動は極めて活発であり、また日本のM&A案件の40%はアジア地域に集中していた。NTTによるDimension Data Holding Plc(南アフリカの IT企業)買収や、アステラス製薬によるOSI Pharmaceuticals, Inc(米国)の買収といった、日本企業による大規模なM&A案件が10年には何件も行われた。

日本の製造業者は特に海外生産体制を拡大することに注力しており、また日本企業の中には原材料や資源権益に強い興味を持っている会社もある、とムーディーズは考えている。

M&Aに伴って格付けがネガティブな影響を受けるか否かは、発行体のバランスシートの強さや、外部負債によるファイナンスの規模や程度にかかっている。

4. 株主寄りの財務行動が予測される
 収益回復により、日本企業の現預金は積み上がった。10年に見られた傾向としては、これらを設備投資や主要事業・中核業務への投資に使用する企業もあれば、増配や自己株買いによって株主還元を行う企業もあった。これは11年も続くであろう。

このような動きは格付けにとってはややネガティブであるが、自己株買いや増配の規模は大きくなく、財務レバレッジを利かせてまで行われてはいないため、格付けの動きがネガティブに大きく動くとは予想されていない。

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