文章力に自信のない人は文章を読む量が足りない たくさん読んでいけば判断能力は自ずと身につく

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とはいえ、その文章が信頼できるものであるか否かは、なかなか判断しづらいものではある。では、どうすればいいのか? 判断力を身につけるために必要なのは、とにかく読む習慣をつけることだ。

先の例にあてはめて考えてみよう。もしも優れた古物商になりたいのであれば、目利きの能力を高めることは不可欠だ。したがって、より多くのものを見て審美眼を養わなければならない。時間はかかるだろうが、それを繰り返していくうちに、やがて本物と偽物の違いがわかるようになってくるわけである。

そして、それは「読む習慣」にもあてはまることだ。

<少しでも多くの文章を読んでいけば、やがて、目の前の文章が「いい文章」か「そうではない文章」かを判断できるようになっていくことでしょう。逆にいえば、そのプロセスから逃げ、読む習慣を身につけなかったとしたら、いつまでたっても“目”は養われないのです。そういう意味で、いろいろな文章を読んでみることは大切。しかも“たまに読む”のではなく、“読む習慣を身につける”ことが重要です。(80〜81ページより)>

読む習慣がないところから始めるのだから、慣れるまでは「この文章は信頼に値するか否か」を判断しづらいだろう。そんなときには、的確な判断が下せないことを不安に感じるかもしれない。だが、その段階ではそれでいいのだ。なぜなら、成長段階なのだから。よって、少しでも早く真偽を見分ける能力を身につければいいのだ。

片っ端から読む習慣をつける

<では、どうすればいいか? 答えは簡単です。「いい文章」か「そうではない文章」かに捉われず、片っ端から読むのです。その時点では、読んでも判断しづらいことだって少なくないかもしれません。でも、心配は不要。多くの文章を読めば読むほど、いつか必ず目は養われるからです。(81〜82ページより)>

音楽を聴き始めたばかりの、中学生くらいのころのことを思い出してみてほしい。まだ知識がなかったその当時は、あまり音楽的な質が高いとはいえないヒット曲でさえ、ミーハー的に好きになったりしたのではないだろうか? しかも、その渦中にいるときには人から「その音楽はレベルが低いよ」と指摘されてもピンとこなかったはずだ。それどころか、抵抗すら感じたかもしれない。私にも似たような経験がある。

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