「核の脅し」強める金正恩氏が語る"独自の言い分" 「意外な第2の使命」発言は何を指すのか
ロシアのウクライナ侵略は、戦後の国際秩序を根底から揺るがしている。ウクライナ国内でどんなにすさまじい非人道的な虐殺やレイプが行われていたとしても、アメリカはロシアといった核保有国相手には軍事的には直接手は出せないという厳然たる事実が明らかになってしまった。
かつてアメリカはソマリア内戦に人道危機から軍事介入した。クリントン政権は、旧ユーゴスラビア・コソボ自治州をめぐる民族紛争でセルビアによるアルバニア系住民の大量虐殺が発生すると、人道主義から躊躇なく軍事介入した。アメリカ主導の北大西洋条約機構(NATO)軍が1999年にユーゴ空爆に踏み切った。
しかし、今回のロシアによるウクライナ侵略をめぐっては、バイデン大統領は昨年12月8日の早い段階で、アメリカ軍をウクライナに派遣する可能性について「This is not on the table.(検討していない)」と明言してしまった。確かにアフガン戦争失敗でアメリカ国民に厭戦ムードが広がっていることや、米露が直接軍事対決を行うことになれば互いに核兵器を使用する第3次世界大戦に突入しかねないことから、その発言にはやむをえない面もあった。
しかし、トランプ前大統領が2017年の朝鮮半島危機の際によく使っていた「All options are on the table.(軍事攻撃も含めた全ての選択肢を検討している)」との言葉を、バイデン大統領も何度も牽制的に述べていれば、今とは違った展開になっていたかもしれない。
「核の脅し」を強める金正恩氏
国際社会が核の威力をまざまざと見せつけられる中、ここに来て核兵器開発をさらに加速する方針を示しているのが北朝鮮の最高指導者、金正恩(キムジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)だ。
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