「核の脅し」強める金正恩氏が語る"独自の言い分" 「意外な第2の使命」発言は何を指すのか

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気になる「国家の根本利益侵害」の中身

また、金正恩氏の演説の中で筆者が気になったのは、「国家の根本利益侵害」を理由にして核使用を示唆したことだ。これには、領土を直接攻撃しない行為も包括的に含まれ、核使用の許容ラインを広げたとみられる。北朝鮮が核の脅しを一段と強めている証しだ。

例えば、北朝鮮は今でも朝鮮半島への米国の軍事介入リスクを排除したうえで、北朝鮮主導で朝鮮半島統一をなし遂げることを目指している。北朝鮮は憲法第9条で「祖国統一を実現するために闘争する」と規定している。そして、それはあくまで社会主義国家としての赤化統一を目的にしている。

金正恩氏の言葉で言えば「祖国統一の革命偉業」にあたる。この統一に反対したり、妨害したりする行為も、北朝鮮の目からすれば「国家の根本利益侵害」に当たり、核使用の口実になりかねない。

金与正氏の談話のように、核兵器を手にし、高圧的な姿勢を強める北朝鮮が「国家の根本利益侵害」を理由に、韓国に軍事的な挑発を仕掛けてくる可能性が高まっている。

北朝鮮は2021年1月の第8回党大会において、今後5年間の国防力強化の課題の1つとして、核兵器の小型軽量化・戦術兵器化の発展を挙げている。

「核の宝剣」(金正恩氏の言葉)を握ってしまった北朝鮮は今後、制裁による経済難の中で「核の脅し」にますます傾斜するとみられる。2017年9月以来の7回目の核実験も間違いなく近く実施されるだろう。

高橋 浩祐 米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

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たかはし こうすけ / Kosuke Takahashi

米外交・安全保障専門オンライン誌『ディプロマット』東京特派員。英国の軍事専門誌『ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』前特派員。1993年3月慶応義塾大学経済学部卒、2003年12月米国コロンビア大学大学院でジャーナリズム、国際関係公共政策の修士号取得。ハフィントンポスト日本版編集長や日経CNBCコメンテーターなどを歴任。朝日新聞社、ブルームバーグ・ニューズ、 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版、ロイター通信で記者や編集者を務めた経験を持つ。

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