日本は、これから先2040年頃までは、高齢化が進展する。
それに対応するために女性や高齢者の活用が大変重要な課題だ。
これができなければ、生産性はさらに低下してしまう。
ただし、そのためには、さまざまの社会的制度が整備されていなければならない。
日本の賃金は、長期にわたって停滞している。
これを放置すれば、日本の賃金が国際水準からみて低くなり、人材の獲得が難しくなる。あるいは、日本の人材が海外に流出してしまう。そして生産性がさらに低下する。
だから、賃金が継続的に上昇する経済を作ることが必要だ。
企業の付加価値は成長があってこそ初めて実現する。
そのためには、新しいタイプの産業や企業が登場することが必要だ。これまでの産業では、生産性の向上には限度がある。したがって、賃金の引き上げにも限度がある。
付加価値の成長は、賃金上昇のために必要なだけではない。国全体の付加価値が成長しなければ、道路や橋などの社会資本の維持・補修も困難になってくる。そして、これが生産性に悪影響を与えるという悪循環が生じる。
現時点で抜本的な政策を採らない限り、日本経済は、停滞というだけでなく、衰退する危険がある。
従来の産業構造は維持できない
1990年代以降、世界は大きく変わった。とくに、中国の工業化とIT革命が重要な変化だ。
しかし、日本では、産業構造も個々の企業も、こうした変化に対応して変わったとはいえない。基本的には、1990年代までの構造が続いている。
日本経済が長期的な停滞に陥り、賃金も上昇しない基本的な理由は、ここにある。
この状態を変え、従来の産業構造、従来のビジネスモデルから脱却する必要がある。
その基本的な方向付けは、上で述べた2つの大きな変化、つまり中国の工業化とIT革命にいかに対応するかである。
過去20年間にわたる日本経済の長期停滞は、この2つの変化に日本が適切に対応できなかったために生じたからだ。
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