「10回に1回の確率で当たる」踊らされる人の弱点 元国税調査官が伝授「数字のワナ」を見破る方法
実際、旅行で使う航空会社を全日空に変えた人、「どうせ買うならビックカメラで」と思った人は多く、キャンペーンは大成功しました。
じつは、サービス提供側からしてみると、50人に1人無料というのは2%の割引、100人に1人無料というのは1%の割引と同じです。景品表示法の関係で、無料にできる上限は10万円と決められているので、実際は、もっと低い割引率となるでしょう。「全員に一律2%引き」と「50人に1人無料」は、キャンペーンにかかるコストはほぼ同じ。しかし、消費者に与えるインパクトが大きく違います。
「2%引き」ではたいして心が動かないですよね。世の中には1割引きから3割引きくらい当たり前にありますし、多くの人にとって値引きは慣れっこになっています。
そんな中で「無料=0円」という数字の魔力の効果は絶大だったわけです。
このような数字の魔力を使った広告は、日常の中にあふれています。
一瞬、「こんなにお得でいいの?」と思ってしまうようなものもたくさんありますが、そんなときは、数字の魔力に踊らされるのではなく、「その手で来たか。うまいね」と思いながら、数字の「裏」を読む習慣を身につけてください。
「一家に1台」は何台か?
数字が苦手な人は、「数字を覚える」ことも苦手です。覚えることができなければ、数字をうまく利用することもできません。
たとえば、「一家に1台」というフレーズを考えてみましょう。
ドラえもんを一家に1台支給するとしたら、全部で何台必要でしょう?
数字が得意な人は、「日本の人口は1億3000万人くらい。世帯数は知らないけれど、1人世帯と4人世帯が多そうだから、平均すると2.5人くらい。1億3000万人を2.5で割ると、5200万世帯になるから、ドラえもんは約5200万台必要になる」というように、ざっくりとイメージすることができます(国勢調査によると、2020年の日本の世帯数は約5500万世帯)。
数字が苦手な人は、「世帯数がわからないから、何台必要かわからない」で止まってしまいます。そもそも日本の人口を覚えておらず、何から考えていいかもわからないという人もいるでしょう。数字に苦手意識を持っている人は、なんでも「正確に、きっちりと」覚えようとする傾向があるように思います。
「日本の人口1億2555万9000人(2021年9月現在)」という数字を見たら、それをそのまま頭に入れようとしてしまう→面倒くさい→覚えられない、となってしまうのです。数字を覚えるときには、あまり細かいことは気にしないことです。ざっくりでいいのです。
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