子どもの学校へ「行き渋り」どうすればいいのか 「頭痛・腹痛や吐き気は心身のSOS」と専門家

拡大
縮小

この病気の場合、自分はなぜ起きられないのかと本人も苦しんでいるケースが多い。体の病気のため、気持ちで乗り越えられるものではないのだが、「怠けている」と叱責されれば、自責の念が強くなり、うつ病になることもある。男子生徒の場合、家族と学校が病気に対する理解があったため、そこまでには至らなかった。また、中高一貫校に通っていたため、付属の高校に持ち上がることができた。

「高校受験があったら大変だったと思います」(母親)

親ができることは、自律神経が整うのを待つことだけだ。

まずは、小児科を受診

日本小児心身医学会は不登校や子どもの自殺の予防策として、各学校での健康診断に心身症のスクリーニング調査を取り入れる提案を始めている。

和歌山県紀南地域で小学5年から中学3年の4000人を対象に行った問診形式の調査では、得点が高いハイリスク傾向となった子どものうち78%が、体になんらかの症状があるものの、通院していないことが分かった。なぜ受診していなかったかを尋ねた欄には「親には伝えていない」「友人にも言えない」「自分の気持ちはだれもわかってくれない」などの回答が見られた。

養育者からの回答には「気持ちの問題だと思っていた」「どこにいけばいいのかわからない」という意見が上がった。ハイリスクと出た家庭に対して受診を促すと、受診をした子どもには明らかに症状の改善が見られたという。

「まずは、学校や小児科が窓口となり、専門医とつなげる仕組みをつくる必要があると思っています。心身症はADHDなどが関係する場合もあります。行き渋りや心配事がある場合、まずは、小児科を受診してください」(村上さん)

こじれる前に手を打つことで救われる子どもは増えそうだ。

(フリーランス記者・宮本さおり)

※AERA 2022年4月25日号より抜粋

>>【前編はこちら】「学校行きたくない」登校初日に学校で嘔吐も…子どもの不登校は10年間で1.6倍も増加

AERA dot.
あえらどっと

朝日新聞出版が運営するニュース・情報サイトです。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT