医師が提案!疲労困憊な肝臓を「いたわる食べ方」 糖質ゼロを避け、空腹で脂肪肝を減らしていく

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体に糖が十分足りていれば糖新生は起こりませんが、グリコーゲンを完全に枯渇させなくても、グリコーゲンからブドウ糖への変換が起こることが刺激になって、脂肪や筋肉から糖が作られ始めます。つまり、脂肪が分解されて減っていくということです。

少し専門的になりますが、もう1つ、空腹がもたらすメリットがあります。糖尿病でない人の場合は、糖新生が行われるときに脂肪が分解されて生まれる物質「ケトン体」は、糖に代わって体を動かすエネルギーになります。

ケトン体についてはいろいろな研究が進んでいて、ケトン体をエネルギー源にすると、「集中力」や「持続力」が増すという報告も。スポーツ界でも注目されるなど、その有用性が認められつつあります。

がんばらなくてよい減量法を求めて…

肝臓をいたわる食べ方のコツは、まずは3食のうち1〜2食をマンネリ化してみることです。

『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術 予約の取れないスマート外来のメソッド』(KADOKAWA) 。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

バランスを考えて作って食べるのは、1日1食だけ。残りの食事は、野菜たっぷりの宅配弁当や、前日のみそ汁に豆腐と卵を加えた具だくさんのみそ汁などと固定してしまうのです。続けるためには、がんばりすぎないことがとても大切です。

そして、脂肪肝を改善するのに、遅すぎることはありません。もし、一度目はうまくいかなくても、いつからでも、何度でも、再スタートすればよいのです。

肝臓には、それを受け止めるだけの再生力があります。一生続けられる、無理しない肝臓のいたわり方を知り、多くの方が健やかな肝臓で過ごされることを願っています。

尾形 哲 肝臓外科医

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おがた・さとし / Satoshi Ogata

長野県佐久市立国保浅間総合病院外科部長、同院「スマート外来」担当医。医学博士。1995年神戸大学医学部医学科卒業、 2003年医学部大学院博士課程修了。パリ、ソウルの病院で多くの肝移植手術を経験したのち、2009年から日本赤十字社医療センター肝胆膵・移植外科で生体肝移植チーフを務める。さらに東京女子医科大学消化器病センター勤務を経て、2016年より長野県に移住。一般社団法人日本NASH研究所代表理事。2017年スタートの「スマート外来」は肥満解消と脂肪肝・糖尿病改善のための専門外来。『肝臓から脂肪を落とす食事術』(KADOKAWA)は現在9刷。また、オーディブル版も発売中。

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