医師が提案!疲労困憊な肝臓を「いたわる食べ方」 糖質ゼロを避け、空腹で脂肪肝を減らしていく

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そのうえ「太ってしまったから痩せなくては……」と思うことは、むしろ追い打ちです。心身ともに疲弊してしまいます。しかも、疲れやすいのは肝臓に脂肪がたまり、肝機能が低下していることも関係しているという不調スパイラルです。

こうした状況下でダイエット生活をスタートしても、早々に我慢の限界が訪れ、甘いものやお酒に手を出すなど、かえってよくない結果を招きかねません。つまり、がんばりすぎていることで、減量が続かないのです。

ストレス太りがある人は、減量より前に、環境を整えることから始めてもらっています。根本的な原因を解決しない限り、ストレスは増え続け、肝臓の負担も大きくなるばかりです。あれも、これもとがんばりすぎては、かえって脂肪肝を悪化させていることもあるのです。

外来でもよく伝えていますが、1人の医師が診る重症病棟の患者は2人までというのが鉄則です。3人以上になると急にミスが増えてしまう。悩みもストレスも同じで、3つ以上になると、たちまちこなせなくなります。

心配事は2つまで。1人で抱え込まず、周囲の誰かに頼ってみる。この、頼ることを“悪”と思わないことや、我慢やストレスを手放す勇気は、とても大切です。

ストレスをため込むことが肝臓によくないのと同様、便秘で出すべきものが出ずに体にため込まれている状態もよくありません。これは便が出ないから、その重さで体重が減らないという単純な問題ではありません。

栄養は小腸で吸収され、大腸では水分が吸収されるといわれてきました。しかし、大腸でも栄養分を吸収していることがわかってきたのです。

大腸で、腸内細菌の働きによってさらに栄養を分解し、それを吸収しています。一方、肥満のある人ほど糖質や脂肪から栄養を吸収する腸内細菌が多いことも判明しています。同じものを食べても、太っている人ほどより多くの栄養を吸収するのです。つまり、“太っているほど太りやすい”という悪循環が起きているわけです。

腸のために、糖質をゼロにしてはいけない

腸内環境を整えるにあたり、糖質制限で見落としてはいけない大切なことがあります。 

ご飯やパン、麺などの糖質を急激に減らすと腸の運動が低下してしまうことが実験的に証明されているのです。人体にとって、急激に、入ってくる栄養が少なくなると、少ない食事から栄養を吸収しようと、腸内に長く食べ物をとどめようとするからでしょう。

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