ダンサーSAMが60歳を超えても現役でいられる訳 ジェロントロジー(加齢学)で知った「対策法」

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また、年齢を重ねていくと、自然と気持ちにも変化が表れます。同じようなことに対する反応も変わってきます。20代の頃は、新しいことにワクワクして、難しいことでも挑戦したいという気持ちであふれていたのに、次第に、新しいことが出てくると不安に駆られるようになってしまった。

反対に、20代の頃は自分のやっている仕事の意味が理解できなくてつまらなかったけど、経験を重ねるにつれて視野が広くなり、どんどん仕事が面白くなってきた。

このように、誰もが、いつの間にか、年齢によって気持ちは変化していきます。もし、心が健康であれば、アクティブに活動することができ、結果として体を動かす機会も増え、心身の健康も保たれることでしょう。

「老けたな」と感じるのは体に悪い

最後の美というのは、端的にいうと見た目のこと。自分で「なんだか老けたな」と感じてしまえば、精神的に落ち込んでしまいます。さらに、「こんな姿を見られたくない」と外に出かける機会が減り、体の衰えにも影響を及ぼしてしまうかもしれません。ただし、美しさを追求するあまり、健康を害してしまうこともあるので、要注意です。

■悩むより筋トレ!

心も体も健康な状態でいるためには、「この先もこの仕事を続けたい」「こんなことに挑戦してみたい」など、夢や目標があると強いです。僕がトレーニングを続けてこられたのもこのためです。

では、そういったモチベーションがない人はどうすればいいのでしょうか?

まず、体を鍛えることです。きついトレーニングやノルマは必要ありません。1日1回でもいいので、まず体を動かしてみてください。大事なことは、毎日続けることです。続けているうちに、自分でも想像していなかったようなモチベーションが生まれることがあります。

ほとんど運動をしていなかった、とある50代の知人の話をしましょう。

あるとき、お風呂場で、お湯が溜まるまでの時間に5回だけ壁プッシュという筋トレを始めたそうです。しばらくは5回やるだけで精一杯だったのですが、毎日続けていくうちに、余裕が生まれました。余裕が出てくると、次は10回、20回……と自然に回数が増えていき、だんだん体が強くなるのを実感したというのです。50代でも体が成長していくことのうれしさで欲が出て、その後、本格的なトレーニングを始めたそうです。

人間は何歳からでも成長できる。その喜びをまずは体を鍛えることから実感してみてください。「モチベーションがない」と思い悩む必要はありません。

■休むよりも運動!

運動は心身両面に影響を及ぼします。自分の体を自分で動かすことは、本来、喜びのはずです。それを感じられたらストレスも減るでしょう。

運動がストレス解消の役に立つことは、研究でも明らかになっています。アメリカのプリンストン大学研究チームは、2013年にマウスを使った実験で、運動によって脳のストレス反応が弱まり、不安を感じにくくさせることを明らかにしました。

僕自身、日常生活でストレスを意識することは少ないです。体を動かすことでストレスを発散できるので、ダンスを続ける限り、僕はそこで発散できているのかもしれません。

「仕事で頭がいっぱいで運動どころではない」という人も、思い切って体を動かすと気分がすっきりするはずです。

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