ダンサーSAMが60歳を超えても現役でいられる訳 ジェロントロジー(加齢学)で知った「対策法」

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■気づいたときが始めどき

忙しいと運動を続けるのは難しい。それは僕もわかります。日々、疲れしか感じないときに、このうえ、運動なんて無理だと思うこともあるでしょう。ただ、そんなときにこそ工夫をしてほしいのです。

意識していれば、時間はつくれるでしょうし、運動もできるはずです。ですからまずは「いつでも運動はできる」と意識を変えていきましょう。

意識を変えるだけで、いつの間にか習慣化していくはずです。たしかに、それは言うほど簡単ではありません。「仕事が落ち着いたら考える」などと先延ばしにしたい気持ちもわかります。でも、早めに始めればそれだけ効果も大きいのです。

トレーニングは習慣化すると効果的

トレーニングは習慣化していくと効果的で、メニューを決めて毎日やっていくのが理想です。体を動かすのが好きな人も嫌いな人も、この習慣化はとても大きなポイントになります。

僕はトレーニングが仕事に直結しているので、続ける意識はとても高いのですが、みなさんも、なぜ運動をするのか、自分自身のこととして意識を高く保つことを心がけてみてください。ひとりで続けるだけではなく、誰かパートナーや仲間がいれば続けやすいかもしれません。

どんな人でも気づいたときが始めどき。20代でも、80代でも、始めるべきは「このままじゃまずい」と気づいた瞬間なのです。

■20代の動きを理想にしない

20代の頃は無駄な動きも多く、経験を積むにしたがってそれが減っていくことを、僕はダンスを通して理解してきました。

20代の頃は、思い切り体を動かしていました。それこそ1日の体力をすべて使い切るくらい毎日毎日、8時間ぐらいダンスの練習をしていたので、常にどこかが痛かったのですが、年を重ねるにつれてその痛みが減っていきました。おそらく動きに無駄がなくなったのでしょう。これは経験を重ねることで自ら得られた貴重なスキルです。

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50代になると年齢による体の衰えにも慣れて、「そんなものだ」と納得している自分もいるのですが、一方では、体の衰えを補うように筋トレを増やし、自由自在に踊れるように体全体のバランスを保っていこうと意識するようにもなりました。

無駄を省くこと、枝葉をとっていくことを、この数年間課題としてきました。大事なものだけを残していく感覚です。

「加齢」と聞くと不安に感じる人が多いことも、よくわかります。老いることから逃れることはできませんが、ジェロントロジーの知識を活用すれば、楽しく元気に格好よく、自分の人生として過ごすことがきっとできるはずだと思います。

SAM ダンサー、ダンスクリエイター、ジェロントロジスト、美齢学指導員

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さむ / SAM

南カリフォルニア大学デイビススクール ジェロントロジー学科通信教育課程修了。1993年、TRFのメンバーとしてメジャーデビュー。コンサートのステージ構成・演出をはじめ、多数のアーティストの振付、プロデュースを行い、ダンスクリエイターとして活躍中。2016年には一般社団法人ダレデモダンスを設立、代表理事に就任。誰もがダンスに親しみやすい環境を創出し、子供からシニアまで幅広い年代へのダンスの普及と、質の高い指導者の育成、ダンサーの活躍の場の拡大を目指す活動を行っている。最近では、能楽の舞台にダンサーとして初めて出演した。

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