池上氏解説「日本の防衛力」は世界でどのレベルか 軍事力はアメリカが突出して1位、中国も追随
各国の軍事費を比較した下のグラフを見てみましょう。
軍事にかけているお金はアメリカが圧倒的に多く1位です。でも、2位は中国。アメリカと中国を足すと世界の軍事費の半分以上になるほど、両国の軍事費は突出しています。
それでも、このグラフを見る限り、アメリカは中国を大きく引き離しており、中国がアメリカを追い抜くなんて考えられないと思うかもしれません。しかし、ここには数字のカラクリがあるといわれています。
中国が公表している軍事費(国防費)には、海外からの高額な軍事装備品の購入費などは含まれていません。同様に軍事研究のような関連する研究費も含まれておらず、そういうものを全部入れると、実際の金額は公表値よりもはるかに高くなるといわれています。
こういった指摘をして、中国は軍事費を低く見せていると批判すると、中国はアメリカだって同じじゃないかという言い方で反論してきます。真相は不明ながら、少なくとも中国としては、なるべく軍事費を低く見せたいという意図を持っていることは確かなようです。
中国の軍事費を調べてわかることは、増え方が異常に早いことです。
2010年と2020年でどれだけ軍事費が増えたか見てみると、中国はほぼ倍増(下のグラフ参照)。アメリカは意外なことに1割減らしています。年間の軍事費ではアメリカが1位でも、増え方は中国がダントツの1位です。
『防衛白書2021年版』によれば、中国が公表している国防費は1991年度からの30年間で約42倍に達しました。これからもどんどん増えそうです。となると、いずれ中国は軍事費でもアメリカを抜くかもしれない。それほどの急激な増加です。
ここで兵士の数に目を向けてみます。下の表を見ると、中国にはアメリカを上回るものすごい人数の兵士がいることがわかります。アメリカ軍140万人に対して中国は218万5000人です。中国人民解放軍は少数精鋭の軍隊にしようと人員削減を進めており、最近、30万人を削減しました。それでもまだ200万人以上います。
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