池上氏解説「日本の防衛力」は世界でどのレベルか 軍事力はアメリカが突出して1位、中国も追随
ウクライナが徴兵制に戻したのは、ロシアによるクリミア併合の直後です。ウクライナはクリミア半島を占領されただけでなく、親ロシア派勢力が支配する東部の2つの地域が独立を宣言するなど、領土の切り崩しに遭いました。
当時のウクライナの兵士は5万人程度。これではロシアの脅威に対応できないと考えたからです。
2021年までに兵員は20万人にまで増え、兵役が終わった後も、いざというときは軍隊に戻る予備役の兵士も90万人になりました。この軍隊が2022年2月のロシア軍侵攻に立ち向かったのです。
フランスでは、2015年のパリ同時多発テロ(130人死亡)などの影響で一時、徴兵制復活の声が上がりました。しかし、多くの国民の反対により復活は取り止めに。その代わりにできたのが国民奉仕制度です。
対象は16歳で期間は約1カ月。制服を着て軍施設での合宿や奉仕活動を集団で行います。2019年にスタートし、最初は対象人数を絞って実施されました。将来的には義務化を目指しているともいわれています。
フランス政府が、若者たちに国を守る意識を植え付けようと考えていることがわかりますね。
日本は世界の中でどのくらい強いのか?
志願制、徴兵制と人集めの方法は国によっていろいろです。しかし問題は軍事力です。世界に軍隊を持つ国がたくさんある中で、日本はどのくらい強いのでしょうか。
軍事費や兵士の数など50以上の項目を総合的に評価した軍事力ランキングを見てみましょう。142の国と地域の中で日本は何位なのか?
なお、ここでは軍事力と言っていますが、日本に限っては、軍隊ではなく専守防衛の自衛隊なので防衛力といいます。そのことを念頭に置いてランキングを見てください。
トップは予想通りアメリカ。でも、日本も5位に入っています。軍事大国や隣の国と緊張状態にある国が上位を占めるなか、日本が5位というのは過大評価のような気がしないでもありません。
評価のポイントの1つは、経済力です。何しろ日本はGDPで世界3位。防衛力の裏付けとなる経済力が大きいからこそ、防衛費にお金をかけられます。もう1つのポイントは最新兵器です。アメリカから購入している最新兵器は極めて高性能で日本の防衛力を高めてくれます。
こういった点が評価されて5位という結果につながったのです。
現在、軍事で世界一強いのはアメリカです。では、10年後は? あるいは20年後はどうでしょう? 近い将来トップに立つかもしれないといわれているのが中国です。もし今戦ったら、アメリカ軍に勝つだろうと見る人もいます。
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