バイデン政権はウクライナを見捨てざるをえない 中間選挙を控え多くのジレンマに悩まされる

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3月1日のバイデン大統領の一般教書演説は、冒頭のウクライナ問題では拍手喝采だった(写真:Bloomberg)

「ウクライナ国民は勇敢に対抗している。だが、今後数日、数週間、数カ月は彼らにとって厳しいものとなる」

バイデン大統領は3月1日の一般教書演説で、ロシア軍侵攻によりウクライナ国民の死傷者が今後増えるなど過酷な局面を迎えることを示唆した。

「政治版スーパーボウル」とも呼ばれ、アメリカ政治の年間行事の中でも重大イベントである一般教書演説にて視聴率が最も高い冒頭で、バイデン大統領はウクライナ危機を重点的に語った。

アメリカのウクライナ支援には限界がある

ロシア軍の戦略ミスや勇敢なウクライナ国民の抵抗もあり、ロシア軍のウクライナ侵攻は難航し、アメリカの諜報機関の当初予想していた以上に戦闘は長引いている。だが、軍事力の差からもキエフ陥落でロシアによる傀儡政権が樹立されるのは、もはや時間の問題との見方がワシントンの東欧・ロシア軍事専門家の間では支配的だ。

筆者の友人たちからは党派を問わず、民主主義国家崩壊寸前のウクライナをバイデン政権はなぜもっと強力に助けないのかとの声も聞かれる。だが、それは安全保障面そして経済面の2つの理由から難しく、バイデン政権は実質、ウクライナを見捨てざるをえないことがすでに予想されている。

安全保障面では、ウクライナは4400万人の人口を誇り、地政学上もアメリカにとって重要な国であるのは確かだ。しかし、ウクライナはアメリカの安全保障にとって最重視するほどの必要性を欠いている。ロシアがウクライナを占領しても、アメリカの安全保障が脅威にさらされることは少なくとも短期的にはない。ましてやウクライナはNATO(北大西洋条約機構)加盟国ではないことから、集団防衛を定めた北大西洋条約第5条に基づきアメリカが守らなければならない義務もない。

一般教書演説でバイデン大統領は「わが国の軍隊はウクライナ国内でロシア軍と現在も今後も対戦することはないことを明確にしたい」と語った。それはアメリカの国益を考慮すると正しい判断であろう。ウクライナへの軍派遣はアメリカがロシアと直接対決することとなり、危機を悪化しかねない。バイデン大統領は第3次世界大戦突入リスクを指摘している。

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