百ます計算の陰山先生が「早期教育」に反対する訳 「失敗が怖い子ども」を育ててしまう可能性も

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子どもに任せると、人体とか内臓とか「え、ちょっと気持ち悪い」というような本、「うんち」などちょっと下品というような本を選んでしまうかもしれませんが、子ども向けの本であればただ単に下品な内容の本はないので大丈夫。

大人が眉をひそめるようなテーマでも、なんらかの学びはあります。万が一、大人からすると学びがまったく感じられない本でも、語彙の獲得に役立ちますし、知識も増えます。

小2まで子どもの好奇心を満たす本で読み聞かせをしておくと、小3にもなれば、自然と自分で本を読むようになります。1人で本を読むようになり、図書室で選んで本を借りてくるようになったとき、子どもの中に「楽しい本、興味を持てる本を選ぶ」「楽しく読む」という、親が読み聞かせてくれたときの体験が残っていることが大事です。

ですから、子どもを観察しないで、「Amazonのレビューがいいからコレ!」なんて理由で本を選ぶのはやめましょう。あくまで、子どもの好奇心を満たす手助けをする、と心得てください。

ゲーム、動画の視聴は最大2時間まで!

――子どもの興味を尊重するとなると、ゲームばかりになってしまう子もいそうですが、やめさせるべきですか?

隂山:「うちの子、ゲームばかりしています。やめさせたほうがいいですよね?」って、そりゃあ、やめさせたほうがいいですよ。誰に聞いたってそうでしょう。

でも、楽しくはまっているものをやめさせられますか? 叱り飛ばして力で押さえつけて、ゲームを取り上げますか? そんなことをしたら親子の信頼関係も損なわれますし、楽しいことを無理に取り上げられた子が勉強を一生懸命やるとは思えませんよね。だから、「やめさせる」なんて、実際には不可能です。

だったらどうするか。親がすることは、「1日○時間まで」と、時間を決めること。ゲームをやらせることが問題なのではなく、時間管理の問題だということを、まず親が理解するべきです。

ゲームや動画の1日の許容時間、これは決まっています。基本的には1時間。最大で2時間です。少ないと思いますか? でも考えてみてください。小学1年生なら、1日のうち、起きている時間は長くても15〜16時間程度です。

その起きている時間のうち、8時間前後は通学と学校に使っています。3時間くらいは朝ごはんや夕ごはん、お風呂などの身支度に使うでしょう。習いごとをしていたら、さらに1〜2時間は使います。

そうすると、1日のうち、残っている時間は、1、2時間程度です。宿題に15分、予習に15分必要だとしたら、ゲームや動画の視聴時間はどうしたって最大で2時間程度しか捻出できないのです。視聴時間が2時間を超えてくると、睡眠時間や学習時間のほうに影響が出てきます。

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