トヨタとホンダ、旧車部品再販車種が増えない訳 旧車ブームで問われる自動車メーカーの姿勢
話をトヨタのGRヘリテージパーツに戻そう。前述のように、当サービスでは4車種について廃版部品の復刻を行っているが、レストア事業者などからは、「(GRヘリテージパーツ対象車種でも)レストアなどに必要な部品が少ない」という声も聞く。また、「1980年代以前のモデルについては、廃版となっている補修部品も多い」という意見も多く、やはりレストアに必須な部品をメーカーから入手しにくい傾向だという。そのため、トヨタ車は、そのほかの旧車も人気だが、レストアなどには非常に困難を極めるという。他メーカーの国産旧車では、例えば、日産のスポーツモデル「フェアレディZ」では、1969年に発売された初代S30型でさえ、いまだに販売されている純正部品も多いという。国産旧車で日産製モデルの人気が高い背景には、こうした部品入手のしやすさも関係している。
サプライヤーの負担が車種拡大の障壁になっている
こうした市場の声について、GRヘリテージパーツの担当者に話を聞いてみた。それによると、廃版部品の復刻には、「サプライヤーの負担がかなり大きい」ことが問題点のひとつだという。当サービスでは、現状(2022年3月末現在)で、24社の企業がサプライヤーとして特別協力をしている。たしかに、それら企業にとってみれば、大量の現行車向け部品製造などの通常業務もあり、それらに加え古い車種の部品に使う金型の製造や、現行車に比べれば総量が少ない旧車の部品を生産する作業はかなり大変だろう。2021年に発表した40系ランドクルーザーの追加も、「(同年8月が)ランドクルーザーの生誕70周年というタイミングでなかったら、協力サプライヤーに同意してもらえなかったかもしれない」という。
また、例えば、2000GTのように古いモデルについては、「当時の設計図があっても、判読が困難な部品もある」という。今のエンジニアは、CADなどでデータ作成した設計図に慣れているため、紙で書かれた図面を読み取りづらいためだ。また、40系ランドクルーザーの場合は、「そもそも設計図がない」部品もあるそうだ。そのためユーザーからのリクエストをもらっても、復刻自体が難しい部品もあるようだ。いずれにしろ、旧車の部品再販には、こうした数々の高いハードルがある。
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