トヨタとホンダ、旧車部品再販車種が増えない訳 旧車ブームで問われる自動車メーカーの姿勢
国産車は、いままで「生産終了から10年以上経過したモデルは、純正の補修部品が出にくい」とよく言われてきた。一方で、メルセデス・ベンツやフォルクスワーゲン、ポルシェといった欧州メーカーなどでは、かなり以前からヘリテージ車に対し、復刻部品も含めた補修部品の提供を行っている。
また、旧車の部品を生産するサードパーティも充実していることで、多くの旧車が今でも現役で走っている。そのため、国産車は、長年「欧州車などに比べるとレストアがしにくい」ことが指摘されてきた。
今回は、トヨタとホンダのケースを紹介したが、他社も含め、国産メーカーがようやく近年になって、「長年のファン」に対するフォローをはじめたということは、非常に興味深い。あくまで私見だが、背景には近年の自動車業界が「100年に一度の変革期」と言われていることも影響しているのかもしれない。電動化や自動運転などの先進技術がもたらす新しい潮流により、最近はテスラやアップル、ソニーなど他業種からの新規参入も目立つ。今後は、中国などからも新興メーカーが続々参入するだろう。
既存ユーザーを大切にすることがブランドを守る
そして、国内メーカーが、そうした戦乱の世に生き残るには、欧州メーカーのように、昔からのユーザーを大切にすることも重要なのではないだろうか。新規参入企業にはない歴史をうまく生かせれば、国内外でより高いブランド力を構築できる。そうすれば、従来からの顧客を他社へ流れないようにできるとともに、ブランドの魅力に惹かれる新規顧客の開拓につなげることも可能だ。
いずれにしろ、国内メーカーのこうした取り組みは、まだまだはじまったばかり。長年行っている欧州メーカーなどと比べると、供給できる部品数や対応車種なども少ないといえよう。トヨタの例を鑑みると、メーカーによってはサービスの充実にある程度の時間もかかりそうな気がするが、遅まきでもまずははじめたことが重要だとも思う。また、日産やマツダなど、今回話を聞けなかったメーカーの場合はどうなのだろう。こうした動向については、今後も機会を見つけ、ぜひ取材を行ってみたい。
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