新入社員がいきなり「在宅勤務」するのはNGな理由 ビジネスパーソンの必須スキルはリアルな場で

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新入社員はどうか。ビジネス環境、配属された職場に適応しようと、どれほど努力しているだろうか。

もしも入社してからすぐに在宅勤務。毎日のようにテレワークだったら、いかがか。仕事をこなすことはできても、人と人とが良好な関係になるために、どんな思考、習慣が必要か。学ぶ機会がなかったらどうか。仕事と違い、人間関係を良好に保つための「敬語」「礼儀」「気遣い」などは、スポーツと同じだ。頭で覚えるものではない。先輩たちの所作を参考にまねすることからはじめなければならない。

よほど感度が高くない限り、先輩や上司にダメ出しされながら覚えていくものだ。そして職場独特の文化、気配りは、周囲の人の動きを洞察しないとつかめない。

「こういうケースは電話ではなく、あえてメールを送ってから対処したほうがいいんだ」

「お客様の想像を超えるような提案をするには、この資料はこうしたほうがいい」

「クレーム対応を任せる場合は、特に気遣いが重要だ。俺からも一言伝えておくので、それからにしてくれ」

社会人になれば、マニュアル的な対応ではなく、ケースバイケースで覚えなければならないことが膨大にある。

最低限のエチケットはどこかで体得しなければならない

破壊的イノベーションを起こすような著名人は「あえて常識を壊せ」と本に書いたり、SNSで公言する。だが、それをしていいのは1万人に1人ぐらいである。というか、意外とそんな発言をしている人ほど、裏では礼儀正しく振る舞っていたりするものだ。刺激的な言動を真に受けてはいけない。

昔よりも個性が認められ、多様性にも寛容な世の中になった。だからこそ、最低限の「敬語」「礼儀」「気遣い」などは、どこかで体得しなければならない。2日や3日の研修だけで手に入るものではないので、1年ぐらいはリアルで人と会い、社会人としての「あり方」を学ぶ必要がある

「機械にできることは機械に任せ、人間は人間でしかできないことに注力する」

それがこれからの時代のキーワード。人間を理解するうえでも、人間との付き合い方をはやく体得することが重要だ。新入社員と呼ばれる間は、できる限り在宅勤務で仕事しないほうがいいだろう。

横山 信弘 経営コラムニスト

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よこやま のぶひろ / Nobuhiro Yokoyama

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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