新入社員がいきなり「在宅勤務」するのはNGな理由 ビジネスパーソンの必須スキルはリアルな場で

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そこで大事なことは、なぜそのように変化したのか、である。単に「世代が違うから」では片付けないほうがいい。

よく耳にするのは、コロナの影響が極めて大きいという声だ。オンライン授業が普及して大学に通わなくなった人、飲食店などサービス業でのアルバイト経験ができなかった人が増えた。だからではないか、という声だ。

たしかに一理ある。

筆者は営業コンサルタントだから、一般企業の営業職、販売スタッフに向けた新入社員研修を受け持つことが大半だ。実際に現場にいると痛感する。部下たちも同様の感想だ。

「全体を俯瞰できる人が少なくなった」

「反応が例年より1.2倍ぐらい遅い」

「礼儀を知らないというより、社会性が欠如している感じ」

感覚値ではあるが、この1~2年で大きく変わった印象だ。

ちなみに先述した「敬語」「礼儀」「気遣い」といったキーワードは仕事をするうえで極めて重要な要素だ。それどころか調理師にとっての包丁と同じで、「敬語」「礼儀」「気遣い」は営業職にとって、なくてはならない武器である。そしてこれは決して在宅勤務では身につかない習慣なのだ。

新時代も変わらない、ビジネスパーソンの必須スキル

「敬語」「礼儀」「気遣い」が武器だなんて、いくらなんでも古い。昭和的な発想だと受け止めた人はいただろうか。

4月に刊行された拙著『新時代の営業「変わること」「変わらないこと」を1冊にまとめてみた』では、営業の第一人者18名にインタビューし、新時代の営業にとって「変わること」ランキングを第1位~10位まで。「変わらないこと」ランキング第1位~10位までをおさめている。

電子商取引ならともかく、一般企業の営業活動において、今後も決して変わらないことは、お客様との信頼関係だ。これは、世界最先端のSFA(営業支援システム)ベンダーの役員も、SNSを活用して新しい営業スタイルを開発するトップセールスも、メディアに引っ張りだこのインサイドセールスの第一人者も、誰もが口をそろえた。

テクノロジーの進化と、顧客購買プロセスの変化により、営業やマーケティングの活動範囲は過去と比較して格段に広くなり、多様化している。とはいえ、どんなに時代が変わっても「変わらないこと」はたくさんあるのだ。そのランキング10の中で、圧倒的に第1位になったのが【信頼関係】であった。

そして、この「信頼関係」を構築するうえで、重要なことは相手とのペーシング。相手の価値観、考え方と合わせていく。1回や2回ではなく、何度も接触し、相手を理解し、心の摩擦を減らしていく努力が、お互いの関係を構築し、維持させる鉄板のやり方なのである。

ここまでが理解できれば、前述した事柄は理解してもらえるだろう。

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