コロナウイルスは、世代間の緊張を数多くあらわにした。
高齢者は健康面において、この病気のいちばんの衝撃を受けた。若者は、高齢者を支えるために経済的にも社会的にも犠牲を強いられた。
若者らはまた、パンデミックとの闘いのために膨らみつつある莫大な国の借金をいつか支払わなければならなくなる。
大半の先進国では、若者たちの将来の収入は親世代より少なくなるとすでに予測されていたのに、さらにこの打撃である。
18-25歳という多感な時期を通じてパンデミックを体験したことで、若者たちは政治的機構や政治的リーダーに対して非常に大きな、容易にぬぐえない不信感を抱くことになったはずだ。市民が政治に対応や説明責任を期待する民主主義国家においては、それがことに顕著だった。
世代間のバランスを改めるための方法
社会契約の世代間のバランスはどうすれば改められるだろう?
私たちは、破壊された環境を修復するためにできるだけのことをしなければならないうえ、未来の世代が負う財政的負担を減らす方法も見つけなければならない。
それを達成するには、今の高齢者は昔より長く働かなければならず、そのうえ、平均余命と定年を明確にリンクさせる必要も生じてくる。
テクノロジーの利用などを通じて基本的医療を広く実現させ、医療費の高騰を抑えることも、財政的圧力を減らすのに役立つだろう。
より長くなるだろう職業人生を通して次世代が生産的になれるように、彼らに投資をする必要もある。
理想的にはすべての若者は、人生を歩み始めるときから教育を受ける権利を手にしているべきだ。それがあれば、職業人生を通じて新しい技術を獲得していける。
積極的労働市場政策──労働者に再訓練を施し、将来仕事に就けるように支援する──もまた、生産性を支えてくれるだろう。そして、より良い幼児教育や働く女性への支援もまた、社会のすべての才能を利用することにつながる。
結果として生産性が向上すれば、高齢化する人口の介護費用を賄う一助になり、将来の負債はより背負いやすいものになる。
これらは、1つの世代から次の世代への賢明な投資でもあり、世代間の新しい社会契約の土台を提供する。
これまで見てきたように、そうした変化の政治学は複雑だ。それは、高齢者は若者に比べて政治の力を効果的に用いる傾向があるという事実による。研究によれば、高齢者が人口に占める割合は公的支出のパターンに非常に大きな影響を与える。単純に言えば、高齢者がより多くいれば年金への支出は多くなり、教育への支出は減るということだ。
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