そもそもPPSは家具のように一時的に設置するもので不燃化の義務はなく、また当然設置場所には各国の法に沿ったスプリンクラーなり防火装置があります。一刻を争うPPS設置のスケジュールに大きく影響するうえ、余計な費用もかかる不燃化に意味があるのかと坂氏が反論したものの、次の方法で乗り切っているということです。
まずは50人向け、つまり25ユニット以内で1区画と限定して現状のものを設置しつつ、次の設置に備えてメーカーに紙管の不燃化を依頼。そして布については、もともと防炎加工が施されているカーテン用の布地を使用するようにしたと言います。
コロナ禍で布地に抗菌加工も
現状のPPSは、これまで数々の支援活動を経て東日本大震災の支援時に完成したプロトタイプであり、そこから今のところ不燃化以外の変更は加えられていないということで、東北やその後の自然災害での支援で、日本で使用されていたものと同じものが現在ウクライナの難民たちにヨーロッパで提供されているということになります。
ただしコロナ禍において、日本で昨年の豪雨の避難所や、ワクチン接種場でPPSを使用した際には、布地に防炎加工に加え、抗菌加工も施しました。
そのほか、坂氏のPPSはウクライナのリヴィウで2カ所、スロバキア(ブラチスラヴァ)でも設置され、今後も新たにハンガリーやルーマニアなどでも使われる予定だといいます。
最初の設置場所となったポーランド、次のパリでは坂氏が実際に現地で監督も行いましたが、PPSの簡単な設置方法のおかげで、現地の建築家や学校などとの連携で現地に任せることが可能です。
「人的、自然災害にかかわらず、困っている人が目の前にいるのを助けたい」と話す坂氏。災害大国である日本ならではのアイデアが、今も多くの人を助けているのです。
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