フランス大統領選、マクロンVS.ルペンは接戦に 「最大の関心事は生活」左派支持者の投票がカギ

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ルペン候補は低所得層に配慮した政策を掲げて追い上げ(写真:Bloomberg)

また、今回の選挙戦でのフランス国民の最大の関心事は、移民問題や気候変動対策ではなく、物価高騰による家計購買力の目減りを挙げる声が多い。フランス政府は資源価格高騰による打撃を軽減するため、ガス料金の値上げ凍結、電力料金の値上げ幅抑制、低所得者向けの給付金支給などの対策を打ち出しているが、国民の多くは政府の対応が十分ではないと感じている。追い上げをみせた2候補はいずれも低所得層に配慮した政策が目立つ。

極右のイメージが先行するルペン候補は、移民の受け入れに懐疑的な主張を続けているものの、ウクライナからの逃避民の受け入れに賛成しているほか、フランスの欧州連合(EU)からの離脱(フレグジット)の主張を封印し、政策を穏健化している。極右思想の有権者がゼムール支持に流れたこともあり、ルペン候補の主たる支持者は低所得者層や現状不満層が中心となっている。富裕税の再導入、減税、年金支給開始年齢の引き下げなどの政策メニューが並ぶ。

最左派のメランション候補は、極左思想の有権者や現状に不満を抱える若者の支持を集めている。最低賃金の引き上げ、労働時間のさらなる削減、年金支給開始年齢の引き下げ、財政拡張、原発廃止などを主張している。経済政策軸ではマクロン氏よりも右派のルペン氏の考え方に近い。

マクロンVS.ルペン、2017年との違い

初回投票の結果が判明する以前に集計された決選投票の世論調査では、ルペン候補がマクロン大統領に迫ってきている。一時は10%ポイント以上の差に広がった両者の支持率は、一部の調査では2%ポイント差まで縮まっている。

初回投票の結果を受けた決選投票の世論調査は注目される。両者が対決した前回2017年の大統領選挙の決選投票では、初回投票で別の候補を支持した有権者の多くが極右大統領の誕生を阻止するためにマクロン氏に投票した結果、マクロン候補が66.1%、ルペン候補が33.9%の票を獲得し、マクロン氏が大差で勝利した。

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