フランス大統領選、マクロンVS.ルペンは接戦に 「最大の関心事は生活」左派支持者の投票がカギ

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フランス大統領選、今回もマクロン大統領とルペン氏の決選投票に(写真:Bloomberg)

4月10日に行われたフランス大統領選挙の初回投票は、再選を目指すエマニュエル・マクロン大統領と、極右政党「国民連合」を率いるマリーヌ・ルペン候補が決選投票への進出を決めた。97%開票時点の速報によれば、選挙戦終盤での失速が目立ったマクロン大統領が27.6%で最多票を獲得して逃げ切り、直前の世論調査でマクロン大統領に迫ったルペン候補は23.4%と差を詰め切れなかったが、決選投票への進出を懸けた二番手争いを制した。

(外部配信先では図表を閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

極左政党「不服従のフランス」のジャン=リュック・メランション候補が22.0%と事前の世論調査に比べて善戦したが、決選投票に進出する上位2名には届かなかった。新たな極右候補として旋風を巻き起こしたエリック・ゼムール候補は終盤で大きく失速し、7.1%の得票率にとどまった。

また、第五共和制下で多くの大統領を輩出し、長年フランス政界を引っ張ってきた二大政党は振るわず、右派「共和党」のヴァレリー・ペクレス候補が4.8%、左派「社会党」のアンヌ・イダルゴ候補がわずか1.7%の得票率に沈んだ。24日に行われる決選投票では、2017年の前回選挙と同じくマクロン候補とルペン候補が対決する。

終盤でルペン氏、メランション氏が追い上げ

今回の選挙では、社会党や環境政党「欧州エコロジー=緑の党」などの左派政党が統一候補の擁立に失敗した。加えて、ルペン、ゼムールの両極右候補とペクレス候補の3人が熾烈な二番手争いを繰り広げ、右派寄りの有権者をお互いに奪い合った。その結果、中道路線を取るマクロン大統領が終始安定したリードを保ってきた。ロシアによるウクライナ侵攻後は、危機下の指導力発揮や「旗の下への結集効果」から、マクロン大統領の支持率は一時30%を超え、他候補との差を広げた。

だが、ウクライナ情勢緊迫化によるマクロン大統領への追い風は長続きせず、初回投票日が近付くにつれ、ルペン、メランションの両候補が猛烈な追い上げをみせた。選挙戦の最終盤では、支持する候補者が決選投票に進出する望みがなくなった右派寄りの有権者の一部がルペン候補に、左派寄りの有権者の一部がメランション候補に流れたことも、両者の支持拡大につながった。

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