フランス大統領選、マクロンVS.ルペンは接戦に 「最大の関心事は生活」左派支持者の投票がカギ

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フランスの大統領選挙は歴史的に投票率が高いが、今回の大統領選挙では有権者の投票意欲があまり高くない。初回投票の投票率は73.2%と前回の77.8%を下回った。ルペン候補の父親ジャン=マリ・ルペン氏が決選投票に進出した2002年の71.6%以来の低投票率にとどまった。

決選投票が行われる4月24日は学校の春休みと重なるうえ(フランスの学校祝日は3つの地域ごとで異なるが、3地域ともに同日が春休みに含まれる)、フランスでは郵送・オンライン投票や期日前投票が認められていない。マクロン再選で決まったと思われた選挙戦が接戦となったことで、決選投票の投票率が上がる可能性もある。その場合、マクロン大統領に有利に働こう。なお、24日のフランス各地の天気予報を確認したところ、「曇り時々雨」の予報が多い。

マクロン大統領に楽勝ムードなく、再選後に不安も

接戦が予想されるとはいえ、今のところマクロン大統領が再選する可能性が上回るが、ルペン候補の勢いと前回に比べた選挙戦での安定感、物価高騰への国民の不満の高まり、選挙戦直前のコンサルティング会社を巡る疑惑浮上、投票率の低下など、前回の決選投票時ほどの楽勝ムードはない。

マクロン大統領が再選を果たした場合も、前回選挙で旗揚げした中道政党「共和国前進」が6月の国民議会(下院)選挙で議会の過半数を確保できるかは予断を許さない。2期目の政権運営は一段と難しさを増すことが予想される。ルペン候補が勝利した場合、フレグジットの主張を封印したものの、北大西洋条約機構(NATO)やEUに懐疑的な姿勢、財政赤字の拡大などが不安視されよう。フランスとEUの命運を握る決選投票まで、残すところ2週間を切った。

田中 理 第一生命経済研究所 首席エコノミスト

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たなか おさむ / Osamu Tanaka

慶応義塾大学卒。青山学院大学修士(経済学)、米バージニア大学修士(経済学・統計学)。日本総合研究所、日本経済研究センター、モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター証券(現モルガン・スタンレーMUFG証券)にて日、米、欧の経済分析を担当。2009年11月から第一生命経済研究所にて主に欧州経済を担当。

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