フランス大統領選、マクロンVS.ルペンは接戦に 「最大の関心事は生活」左派支持者の投票がカギ

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20日には両候補によるテレビ討論会が予定されている。前回の決選投票直前のテレビ討論会では、極端な政策主張が目立ったルペン候補が守勢に回り、マクロン候補の勝利を決定づけた。今回は最大の焦点となる物価高対策をめぐって、ルペン候補がマクロン大統領を攻撃する機会もありそうだ。

また、初回投票の直前には、フランス政府による大手コンサルティング会社への巨額の業務発注が発覚し、金融検察局が脱税疑惑の予備捜査を開始した。フランス政府は業務発注の違法性を否定しているが、マクロン大統領の再選にとって逆風となりそうだ。燃料税引き上げに反対した「黄色いベスト運動」に象徴されるように、法人税率引き下げや労働市場改革など、競争力強化を重視するマクロン大統領の政策には、大企業や金持ち優遇との批判もつきまとう。

決選投票での勝敗の行方を左右するのは、初回投票で脱落した候補を支持した有権者の投票行動だろう。初回投票の結果判明後、ゼムール氏がルペン候補への投票を呼び掛けた一方、ペクレス氏やイダルゴ氏など他の多くの候補はマクロン大統領への投票を呼び掛けた。初回投票で20%以上の票を獲得したメランション氏はルペン候補に投票しないように呼び掛けると同時に、マクロン支持を明言していない。メランション支持の有権者は、反ルペンであると同時に反マクロンであることが多い。

左派系候補支持者の行動がカギを握る

各種の世論調査によれば、初回投票でゼムール候補を支持した有権者の多くがルペン支持に回る一方、社会党のイダルゴ候補や環境政党「欧州エコロジー=緑の党」のヤニック・ジャド候補など左派系候補を支持した有権者の多くがマクロン支持に回る可能性が高い。

ただ、1カ月程前の同調査と比べて、全般にルペン候補に投票するとの回答が増えている。決選投票でルペン候補がマクロン大統領を逆転するには、メランション支持層の投票行動に加えて、ペクレス候補に投票した共和党支持の有権者をマクロン候補から奪うことや、社会党など左派系候補を支持した有権者の棄権票が増えるかがカギを握りそうだ。

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