出井伸之氏「子会社が下という考え方をやめよう」 どこの会社なら「自分が輝けるか」が重要だ

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元ソニーCEOで84歳の今もベンチャー企業「クオンタムリープ」のCEOを務める出井伸之氏は、「親会社と子会社」という考え方に疑問を投げかけます(写真:小学館)
元ソニーCEOで84歳の今もベンチャー企業「クオンタムリープ」のCEOを務める出井伸之氏は、日本企業のキャリア形成のあり方に疑問を投げかける。その1つが、「親会社と子会社」という考え方だ。ソニーで学び、自ら切り開いた後半生のキャリア論をつづった新著『人生の経営』から一部抜粋・編集してお届けする。

どこでなら自分が輝けるかが重要

「半沢直樹」という大ヒットドラマがありました。銀行内で起きる不正を暴いていく痛快な内容で、主人公の半沢直樹は、今や“日本一有名なサラリーマン”と呼べるでしょう。2020年に放送された続編では、子会社に飛ばされていた半沢直樹が親会社に戻り、出世することになりました。

とても日本的なハッピーエンドではあるのですが、あのまま終わってもらっては、僕としては少々困るのです。なぜかというと、それは僕が提唱するこれからの働き方とは真逆の発想だからです。

まず、子会社から親会社に戻って出世してハッピーエンドというのは、「子会社が下で、親会社が上」というのが暗黙の了解になっているわけです。だけど、子会社だろうと親会社だろうと、自分が輝いて働けるのなら、会社なんてどこでもいいとは思いませんか? 肩書きなんて関係ないし、大会社がよくて、ベンチャー企業がダメみたいな考え方も捨てたほうがいい。どこでなら自分が輝けるかが重要なんです。

実際に、僕もソニーの国内営業を担当していた「ソニー商事」の横浜の物流センターに出向したことがあります。そのときはがっかりしたし、その後、子会社から親会社に戻ったんですが、今思えば、子会社では大きな学びがあったし、その経験が後々すごく役に立ちました。

これからの新しいサラリーマンにとっては親会社も子会社もありません。子会社でなければ学べないことはたくさんあり、そこで何を学ぶか、学ぶことで自分のバリューをどう高められるかを考えることが大事だと思います。

日本の多くの企業で今も残っているようですが、会社ごとで特定の出世ルートというのがあったりします。たとえば、「○○支店出身じゃないと社長にはなれない」とか、「○○畑が出世ルートだ」とか。こういうのも古くさい考え方だと思います。

サラリーマンとして輝き続けるには、いろんな部署で働いて、たくさんの引き出しを持っていたほうがいい。昨今は「専門性を持たなければいけない、ゼネラリストはダメだ」などといわれたりもするのですが、狭い視野で、あまり1つの分野、1つの専門性にこだわるのもよくないと僕は思います。

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