中国が「対台湾武力行使」を簡単には起こせない訳 ウクライナの反撃、ロシア経済制裁を目撃した今

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ロシアの孤立・凋落を目の当たりにすれば中国もそうそう手を出せなくなる(写真:PhDreams/PIXTA)
米中貿易戦争により幕を開けた、国家が地政学的な目的のために経済を手段として使う「地経学」の時代。
独立したグローバルなシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)」の専門家が、コロナウイルス後の国際政治と世界経済の新たな潮流の兆しをいち早く見つけ、その地政学的かつ地経学的重要性を考察し、日本の国益と戦略にとっての意味合いを、順次配信していく。
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ロシアのウクライナ侵攻を目撃したことで、中国が台湾に武力侵攻しないかがますます懸念されている。しかし、中国が台湾を武力で統一することや、台湾が支配する離島を奪取することは、コストやリスクが高すぎるため、近い将来発生する蓋然性はあまり高くない。

これに加えて、中国が対台湾武力行使を思いとどまる理由を経済の観点からも検討する必要がある。なぜなら中国共産党にとって、台湾と統一することだけが唯一無二の国家目標であるわけではないからである。むしろ経済発展と生活水準向上こそ、中国共産党の正当性根拠となっていることを忘れてはならない。

「平和統一政策」の主な目的

そもそも、中国は台湾の「平和統一政策」の看板を取り下げていない。なぜだろうか。それは、中国にとって「平和統一政策」と中国自身の「平和発展戦略」が緊密に結びついているからである。

多くの人は、中国と台湾が平和的に統一することに「平和統一政策」の目的があると信じている。確かにそれは正しい理解であるが、より注目すべきことは、中国が平和的な国際環境を享受して経済発展に邁進する現実を支えてきたのが「平和統一政策」であったことである。

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