観光地が遠い、鉄道置き換えた「BRT」の課題は何か 停留所の増設も乗降客は限られる・大船渡編

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碁石海岸口付近を走る大船渡線BRT(筆者撮影)

陸前高田市のBRT大船渡線の小友からBRTに乗ると、短いトンネルで小さな峠を越えて大船渡市内へ入る。次が碁石海岸口。鉄道時代に駅はなかったが、2013年に追加された。地域名は末崎だが、4kmほど離れた観光地名を名乗っている。ただ、ここで降りても、タクシーを呼ぶ以外に碁石海岸へ向かう手段はない。

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大船渡市の中心部と碁石海岸の間は岩手県交通の路線バス、碁石海岸線が結んでいるが、碁石海岸口駅近くは通ってもBRTとの接続はとくに考慮されていない。むしろ、次の細浦でBRTを降りたほうが、2分ほど歩いたところに「細浦駅前」を名乗るバス停があり、まだわかりやすい。

観光客は自家用車で来る

細浦は大船渡湾の入り口にあり、さらに地名のような細長い湾が切れ込んでいる奥にある漁港だ。漁船が多くもやられている岸壁に沿って、1日3往復だけバスがやってくる。1月23日の日曜日、2本目になる12時47分発に乗り込んだ。始発は岩手県交通の営業所がある山間部の立根(たっこん)で、大船渡市内の商業施設や公共施設を回って碁石海岸へ向かう。

細浦を走る岩手県交通バス(筆者撮影)

バスはいったん山間部の県道へ入り込む。ちょっとした悪路だが眺めはよく、新しくない集落を縫って走る。やはり度重なる津波によって、海岸沿いを避けて丘陵地に定着した人たちが作った地域と察せられる。

2014〜2015年にかけて末崎地区には細浦駅を起点としたコミュニティバスがあった。細浦または碁石海岸口でBRTと接続する体系になっていて、私も一度、乗った。だが結局、市中心部直通の路線バスに補助金を出して任せる形となったようだ。碁石海岸には13時04分着。かなり迂回した割には17分で着いており、運賃も300円と安かった。

碁石海岸は、この地域では著名な観光地で、バスの終点付近にも観光案内所や売店、レストランなどの施設が整っている。折り返しは14時発でこれが最終。バス待ちの間に近くをひと周りしてみたが、見応えがある海岸美が楽しめた。だが、ほぼすべての観光客は自家用車で来るのだろう。路線バスの実態は、あくまで地元住民の足である。

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