「幸せを感じられる人」「不安にとらわれる人」の差 成功だけを人生の目的にすることの大問題

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――子どもたちは本来、大人たちからの吹き込みがなければ、〝今ここ〞を楽しめるはずなのです。大人たちの価値観を刷り込まれずに育っていたら。ところが、成長していく過程で、だんだん〝今ここ〞を楽しめなくなってくるのです。おそらく、親の働きかけがきっかけだったのでしょう。

小学校入学前の子どもたちが将来のことを考えることはあまりないでしょう。先のこと、明日のことすら考えずに、今精一杯生きています。一生懸命遊んでいます。

ところが、大人は計画して生きています。早く寝ないと明日仕事ができないというようなことを考える。でも、子どもたちはそんなこと考えないで、クタクタになるまで遊んで疲れ果てます。そんなふうに1日が終わります。

簡単なことです。子どもの時に経験していたような生き方を取り戻せばいい。もしも忘れているとしたら思い出してほしい。

不本意な仕事で人生を空費していいのか?

B: 変わりたい。でも、難しいです。私は営業の仕事をしています。ノルマを考えずに、1人ひとりに合わせてじっくり提案をしたいと思ったとしても、当然会社では目標の数が決まっています。目標を達成できないとお給料をもらえません。そんな中で、制度に組み込まれずに、自分のやりたいようにやるというのはすごく難しくないですか?

――制度に自分を当てはめるという生き方は、本来的には間違っています。もっとも、生活を人質に取られていますから、仕事を辞めるのは難しいです。それでも、不本意な仕事をすることで、人生を空費、浪費していいのかということを考えなければいけません。

本来こうあるべきではないかということを考えるのが哲学です。現状がたとえどれほど困難でも、こんな生き方でいいのか、こんな働き方でいいのかということは、絶えず考え続けないといけません。

――「こういう生き方をするものだ」という、大人や会社が決めた枠にはまってしまって、二度と抜け出せない人が圧倒的に多いです。その枠の中にあっても、これでいいのかと疑問を持った人が、人生のレールから外れます。それができる人は、自分の人生を取り戻すことができます。それを選ばない人もいますが、どちらが幸福かよく考えなければなりません。

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