意味あった?東証市場改革「完全骨抜き」の全内幕 1部上場の84%が横滑り、海外マネー流出の危機

歴史的な大改革が骨抜きにされた裏側ではどんな動きがあったのでしょうか(デザイン:小林由依)
退潮著しい日本の株式相場で、市場再編という歴史的な“大改革”が日の目を見た。しかし、時間をかけて完全に骨を抜かれた改革への失望から、眼前に投資マネー流出の危機が迫ろうとしている。
『週刊東洋経済』4月4日(月)発売号は「東証沈没」を特集。東京証券取引所の市場再編について、約60年ぶりとなる“大改革”が骨抜きにされた全内幕を詳報したほか、「プライム」など新たな市場区分における要注意企業などを、独自ランキングであぶり出した。
国会議員の1人に呼び止められた金融庁幹部
「優秀な若者が地元で就職するとしたら、県庁、銀行、1部上場と相場が決まっているわけ。その1部上場企業がもし“降格”になったときの影響は、君たちが考えているよりもはるかに大きいからね。よろしく頼むよ」
東京・永田町にある自由民主党本部。6階の会議室での会合後、国会議員の1人に呼び止められた金融庁幹部は、そう言われて腰をぽんと叩かれた。
同幹部にとっては、担当外の話だったため「なぜ自分に」と思ったが、議員が言わんとしていることはすぐにわかった。当時まさに、金融庁の審議会で議論していた案件だったからだ。
その案件とは、東京証券取引所の市場構造改革について。東証1部、2部、マザーズ、ジャスダックという4つの市場区分を再編・統合し、海外の市場と比べ大きく見劣りする現状を打破しようとするものだった。
ただ、結果として東証の市場改革は「骨抜き」や「看板のかけ替え」といった強烈な批判を投資家から浴びることになってしまう。
なぜなら、市場再編後の最上位区分となったプライム市場に、1部上場企業の84%に当たる約1840社が、そのまま横滑りする格好になったからだ。
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