「毒親から逃げるため」に婚活した彼女の結末 親の呪縛から逃れる人・逃れられない人の差

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特に娘に対しては、「母親自身が結婚したい人」と結婚させたいと願う母親が多いようです。だから医師と結婚したかった母親は、必ず「医師がいい」と言います。娘を自分の分身か所有物と勘違いし、自分が叶えられなかった夢を娘に託しているのです。

そんな母親は、娘が自分の言うことを聞かないと人前でも小さい子を叱りつけるように叱ります。見かねた私が「お母様、お嬢さんはもう大人なんですよ」となだめようとすると「私の娘なんだからほっといて!」「××ちゃんは、ママと植草さん、どっちを信じるの?」などと言います。

父親が婚活に積極的になった背景

娘とシングルマザーの母親が一緒に来ることもあります。長い間、2人きりで生きてきたので、絆は一般の親子よりもよりいっそう深く、まるで母親もセットで嫁に行こうとしているかのよう。正直なところ、婚活においてはなかなかやっかいな存在です。お見合いのたびに「私、二世帯住宅希望してるんですけど」と言ってしまう。相手はドン引きです。

でも、それは優しいからなんです。優しいから母親1人置いて自分だけ幸せになれないと考えている。だから、私は「お母さんも一緒に婚活しませんか。2人で別々のところに飛び立ちましょう」とご提案しています。母親もまだまだ若いですから。

父親が一緒に来るパターンはコロナ前までは10年間で数人いるかいないかだったのですが、コロナ禍で急に増えてきました。おそらくリモートワークになって時間に余裕ができ、改めて自分の家族について考えるようになったのでしょう。

もっとも、コロナ禍で献身的になったのは母親も同じ。以前は、子育てが終わって、友だち同士で飲みに行ったり、バスツアーに参加したりと趣味に勤しんでいた50代母親が、外で遊べなくなってヒマになり、よくも悪くもまた子どもに関わっている印象です。

先日は、30代会社役員男性の父親が「うちのせがれは気がちっちゃくて、女の子に声をかけることもできない。変な女に騙されたら困るから、結婚相談所でちゃんとした女性を探してほしい」と相談に来ました。父親は子どもの結婚相手に対しては、職業よりも将来性や性格などを重視するようです。父親のほうが母親よりも冷静な印象を受けます。

親と縁を切って結婚する、縁が切れずに墓守のために婚活をする。どちらも本人の判断ですが、親の呪縛から逃れる人・逃れられない人の差は、「うちの親はおかしいのかもしれない」と気付けるかどうかにありそうです。

植草 美幸 恋愛・婚活アドバイザー、結婚相談所マリーミー代表

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うえくさ みゆき / Miyuki Uekusa

1995年にアパレル業界に特化した人材派遣会社エムエスピーを設立。そこで培ったマッチング能力・人材発掘力を生かし、2009年に結婚相談所マリーミーを設立。結婚相談業のほか、セミナーの開催、テレビやラジオへの出演など、アラサー・アラフォー男女を「幸せな結婚」に導くために幅広く活動中。『ワガママな女におなりなさい 「婚活の壁」に効く秘密のアドバイス』(講談社)、『「良縁をつかむ人」だけが大切にしていること』(諏内えみさんとの共著、青春出版社)、『結婚の技術 (中央公論新社)、『モテ理論』(PHP文庫)など。

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