日本人の遺伝子が酒に弱く「進化」した納得の理由 コメを食べてきた日本人の腸に起こった変化

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「マラリア5県」が位置する本州中央部には、もう一つ大きな特徴があります。都道府県ごとに100人からゲノムを採取して、酒に弱い人の割合を調べたところ、下戸の割合がもっとも高かったのが三重県で、次いで愛知県、石川県、岐阜県であり、かつての「マラリア5県」とその周辺に、酒に弱い人が集中していることが明らかになりました。下の地図を見てください。

酒に弱い人はマラリアに強かったのか? 上図はマラリアの自然発生が近代まで続いた「マラリア5県」、下図は都道府県別にみた酒に強いタイプの遺伝子を持つ人の割合。マラリアが多く発生していた本州中央部は酒に弱い人が多い。(出所)奥田昌子『日本人の「遺伝子」からみた病気になりにくい体質のつくりかた』(講談社/2022年)より

本州中央部には標高3000メートル前後の山脈が連なり、ここから流れくだる無数の川が水を豊かにもたらします。おそらくは古代からマラリアがたびたび発生していたでしょう。この地域に住む人々は「酒に弱くなる方向に進化」することで、マラリアに対抗しようとしたのかもしれません。

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