だが実際は、教育的支援より前に診断につながることがある。
通常の学級にいる発達障害が疑われる子どもに対して、まず勧められるのが通級指導だ。通級指導は、通常学級に在籍しながら一部の時間だけ別の教室に通って指導を受ける特別支援教育の一つ。この通級指導による支援でも難しい判断された場合は、特別支援学級への転籍が検討される。文科省の関係者は次のように明かす。
「本来、通級指導を受けるためには医療機関での診断は不要。ただ、児童を医療機関につなげているケースがあるのは事実だ。教育的判断で指導を受けさせるか、教師だけでは責任を負い切れていないことがある。通級指導の希望者が多ければ予算がパンクするため、医師の診断がつけば(指導が必要だという)説明が明確だ」
早期発見の強化がもたらした弊害
これまで報じてきたように、医療機関を受診した子どもの中には、周囲の環境を調整することよりも、本人の服薬を優先されることがある(連載第1回「学校から薬を勧められる『発達障害』の子どもたち」)。この点は、本来の調査の目的であった「通常の学級にいる」児童への「教育的支援」とはかけ離れている。
20年前の調査を皮切りに、これまで教育的な支援が乏しかった発達障害の子どもへの支援が始まった。
しかし、発達障害の早期発見が強化された結果、薬が優先されることで副作用や依存に苦しむ子ども(連載第2回「子どもに『向精神薬』を飲ませた親の深い後悔」)や、いじめや家庭の隠された問題を顧みられない子ども(連載第4回「いじめを受けた『発達障害』の彼女が語る薬の闇」)が存在していることも事実だ。
それらの子どもの存在は顧みられないまま、発達障害の発見を促す政策が推進されてきた。「支援」という善意によって、安易に診断や投薬、通常の学級の外へと排除される子どもを急いで救うことが今、必要ではないだろうか。
(学校で発達障害の子どもが増える背景には、教師への規制強化や学校ルールの厳格化があります。近日公開予定の第7回では、2000年初頭からの教育政策の課題に迫ります)
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