スーパーゼネコン・大林組の収益回復シナリオはなぜ狂ったのか。
前期比7割減の大幅営業減益に──。
大林組が2021年11月8日に発表した22年3月期の通期業績計画の下方修正は、ゼネコン業界に衝撃をもたらした。
修正後の売上高は前期比10.9%増の1兆9600億円だが、営業利益は同72%減の345億円になるという。当初計画に比べて605億円もの減額となり、東京五輪特需に沸く前の14年ごろの水準にまで一気に低下する。
同社は東京・港区の高輪ゲートウェイ駅前の再開発プロジェクトの一環で、21年4月に超高層タワーを着工。港区虎ノ門・麻布台の大型再開発でも低層タワーなどの工事を進める。「これらの首都圏案件が昨今の資材高の影響を受け採算性が低下した」というのが関係者のもっぱらの見立てだ。
だが、高輪の再開発は工事が始まったばかり。大林組は工事進行基準の会計を採用しており、工事初期段階の損失計上は一般的には大きくならない。虎ノ門も想定外の不具合が発生したというようなことは聞こえてこない。高輪や虎ノ門だけでは、7割減益の説明がつかないのだ。
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