主戦場の小型工事を大手が侵食。残されたのは厄介者の分譲マンション。
房総半島内陸部に位置する千葉県長生郡長南町。人口は約7600人、公共事業費に当たる普通建設事業費は2021年度の予算ベースで約3.9億円。建設市場における存在感は限りなく小さいこの町に、大手ゼネコンが突如姿を現した。
「まさか大成建設が落とすとは」。地場のゼネコン幹部は動揺を隠せない。21年12月に入札が行われた町役場の建て替え工事での出来事だ。4グループが応札したが、落札したのは大成建設と地場ゼネコン(千葉県市原市に本社)が組んだ企業体だった。
落札価格の小ささにも驚きの声が上がった。大成のグループが提示した価格は9億7077万円。これはダンピング防止のために自治体が設定した最低制限価格と3万円しか違わない。入札価格が10億円を下回ったのは大成のグループだけだった。
「30億円以下の工事はやりません」。前出の千葉県の地場ゼネコン幹部はコロナ禍以前、大成建設の担当者からこんな話を聞いていたという。大型工事が豊富なため、小粒な案件には手を出さないという意味だ。
だが、21年5月に入札が行われた「新宿区牛込保健センター」の建設工事にも、大成建設の姿があった。他社に落札されたものの、大成の入札金額は29億円だった。
目先の売上高が欲しい
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