米国で安価な天然ガス「シェールガス」が産出されるようになり、日本にも2016年以降、本格的に輸入されるようになると言われています。これを見据えて、海運各社はLNGの運搬船を製造しているのだと思われます。
短期的な先行きの見極めポイントは3つある
さらにいくつか、短期的に注目したいポイントがあります。まずは、原油安の影響です。今年の前半まで、原油価格は1バレル100ドル前後で推移していましたが、今(12月25日現在)はドバイ原油で1バレル56ドル台まで大きく下落しています。この原油安は、海運業に好影響を与えることは間違いありません。
ただ、原油安そのものは好材料となるものの、それによってロシアや欧州経済の金融不安が燻り始めていますので、今後の動きには注意が必要です。
次のポイントは、円安がどこまで進むかという点です。私は、中長期的にドル/円相場は円安に進みやすいと見ています。
米国経済は、比較的堅調に推移しています。米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は、2014年12月17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、「利上げ時期は早くても4月以降になる」と表明しましたが、2015年中の利上げはほぼ確実と考えられます。さらに同国は、シェール革命によってエネルギーの輸入が減り経常収支が改善していますから、より米ドルが強くなりやすくなっています。
一方、日本は、2度目の異次元緩和が打ち出されたことによって、少なくとも数年間は金利が上昇しないと考えられます。もちろん、インフレがコントロールできなくなれば話は別ですが、このままの状況が続けば、金利が上がることはまずないでしょう。これらの点を考えますと、中長期的なトレンドは、円安ドル高が進みやすくなると考えられるのです。
冒頭でも触れましたが、円安が進むと、海運業の業績は押し上げられますから、こちらも一つの好材料となるのではないでしょうか。
最後のポイントは、クリスマス商戦の影響です。秋から冬にかけて東南アジアから米国への運送量が増えており、昨秋以降、海上コンテナの船賃が前年同期より34%高くなっているのです。
米国経済は今、比較的堅調に推移していますから、クリスマス商戦向けの雑貨も増えています。
ただ、中国を中心とするアジア経済の低迷、そしてロシアや欧州経済の金融不安が、これらの好材料を打ち消すことにもなりかねません。海運業の業績については、世界経済の大きな流れとともに、今回指摘した複数のポイントをトータルで見ることが大切です。
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