《プロに聞く!人事労務Q&A》出張中に休日を挟む場合、日当を支払わないよう就業規則を変えたいのですが?
回答者:鈴木社会保険労務士事務所 鈴木ひろみ
弊社では、出張中に土・日曜や祝日がある場合、それらの日にまったく仕事をしなくても日当を支払ってきました。ですから、社員は出張中の休日に観光地巡りやグルメ散策をしていても、日当を受け取ることができたのです。
しかし弊社では、不況による業績低迷が続いているので、経費の見直しを進めています。出張中の休日に仕事をしていない場合は、日当を支払わないよう就業規則を変更したいと思います(土・日、祝日であっても業務を行った場合は支払います)。
就業規則の変更は法律上、何か問題がありますか?(卸売業:人事部)
労働条件の変更は、労働者の合意が必要
就業規則の規定は、労働条件の1つになっています。つまり就業規則の変更は、労働条件の変更となります。今回の就業規則の見直しは、出張中に所定休日がある場合に支払われていた日当が廃止されるということですから、労働者側から考えると不利益変更と受け止められます。
労働契約法第9条によると、労働条件を変更する場合は、原則として、使用者と労働者の間で合意が必要です。就業規則の変更に伴い労働条件の不利益変更が行われる場合においても使用者と労働者の間に合意が得られなければ変更ができません。しかし、合意がなければ就業規則の変更ができないとすれば、業務に支障が生じることも考えられます。
そこで、労働契約法第10条では、合意が得られない場合でも、【1】変更後の就業規則を労働者に周知させている及び【2】就業規則の変更が合理的なものであるときは、労働者の労働条件は、変更後の就業規則の定めるところによることができます。