そもそもお金とは何だろうか。なぜお金が価値を持つのか。
お金は、人類が文字を使用し始めるのと同じくらい古くから使われ、現代の生活でも不可欠なものだ。お金が大切なことは、子どもだって知っている。ところが、「そもそもお金って何?」と改めて問い直すと、たいてい答えに窮してしまう。
別に難しい理論を要求しているのではない。それなのに、改めて考えてみればよくわからない──。「彼らはそれを知らない。しかし彼らはそれをやっている」(『資本論』)。これがおそらく、お金の特質かもしれない。
お金は一方で、多くの人が求め、手に入れたいと願っている。そのため、お金をたくさん持っていると、羨望の的になる。その点では、お金は価値あるものと言ってよい。それなのに、他方では、お金を求めることは、古くから軽蔑され続けてきた。例えば、『新約聖書』では、お金をばらまく悪魔「マモン」が描かれ、それに支配された拝金主義は「マモニズム」と呼ばれる。
古代のギリシア悲劇でも、近代の演劇でも、お金はどこかしら「汚い」もので、それを求める人は、しばしば非難されている。モリエールの『守銭奴』やシェイクスピアの『ヴェニスの商人』では、そうしたお金に対する両義的な感情が、ストレートに表現されている。お金の特徴は、この対立する2つの性格にある。
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