急成長グルーポンの死角、「おせち問題」であらわ


景品表示法に抵触も

市場が勃興した当初から懸念されていた点が、「店舗側のサービスの質と価格設定の妥当性」(大手サイト)だ。飲食店やホテルなど、幅広いジャンルを対象に大幅割引でクーポンを提供するには、店舗への十分な説明が必須。クーポンの店舗側の取り分は定価の4分の1以下が主流である。あくまで集客と宣伝効果に特化したサービスという面を店舗側に理解してもらい、薄利のツケを購入者に回さないようにしなければならない。 

顧客に対しては価格設定面で、本当の定価がいくらかを示すことが重要だ。今回のおせちのように販売実績がない例はむろん、「当サイト限定コース」のような商品の場合も、「比較する物差しがわかりづらく、景品表示法第4条が禁止する不当な二重価格表示に抵触するおそれがある」と笠原宏・消費者庁表示対策課長(当時、現・公正取引委員会調整課長)は指摘する。

こうしたリスクを回避するため、例えばポンパレでは、クーポンの掲載可否、表現内容、価格の妥当性、の3段階で審査を行う仕組みを設けている。「比較するための定価を把握すべく、飲食店であればメニューブックの写真を必ず撮る」(前澤隆一郎編集長)ほどの徹底ぶりだ。現時点でグルーポンはそこまでのチェック機能は完備していない。

まだ危うい面も抱えるグルーポンだが、法律や商習慣をきちんと守り、真に消費者を向いたビジネスを展開していけば、勝機は十分残っている。親会社の莫大な資本力をバックに、広告宣伝費は月間10億円を超える額をネットやテレビに投下。ポンパレや「一休マーケット」(一休)などがそれに追随する構図が、当面は考えられそうだ。

もともとクーポン共同購入サイトは、消費者には圧倒的な安さ、店舗側にも短期で新規客獲得ができる、という点で絶大な魅力を持つ。おせち問題の一件に学び、いかに健全な業者を選び、良質な商品提供を持続していけるか。さらなる市場の普及・発展はすべてそこにかかっている。

(二階堂遼馬 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2011年1月22日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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