新型コロナは人材ビジネス業界にも深刻な影響を与えており、2012年5月期から8期連続の増収を続けていたパソナグループも、2020年5月期は減収となりそうだ。
パソナグループの南部靖之代表は、ここ5年間にわたって不況への準備を進めてきたので、今回の経済危機に立ち向かうことは可能だという。コロナ禍によって引き起こされた「働き方改革」はビジネスチャンスと見ているようだ。
南部代表に日本の雇用と同社の経営戦略について聞いた。
コロナで社会構造が根底から覆った
──コロナで国民の意識が変わったと言われています。
大きく変わったと思う。今までの常識が非常識になったどころではなく、「超常識」と言える状況になった。これまでの社会は経済優先だったが、コロナ禍で自然、文化、家族など、もっと大切にするものがあることに気づいたのではないか。東京に一極集中してあくせく働くのではなく、働き方を改革して地方で心豊かに生活することに価値を見いだす人が増えた。
ITによる変革が第4次産業革命であるならば、コロナ禍による変革は第5次産業革命ではないか。「社会のあり方革命」と言えるだろう。社会構造が根底から覆った。
──今後の景気見通しは?
過去の世界恐慌やウイルス感染の歴史を見れば、これからさらに景気は悪化する。簡単にワクチンができるとは思えず、アフリカなどでも感染が拡大するだろう。1930年代の世界大恐慌のような状況になりつつある。
これから失業者が百万人単位で増加する可能性があり、失業率は過去最高の水準まで上昇するだろう。新卒採用も予断を許さない。外国人労働者の日本での就職も極めて困難になった。外国人留学生でさえ就職が難しい状況において、社会人の外国人が就職するのは無理だ。
──2021年は東京五輪が開催され、2025年には大阪万博もあります。こうしたビッグイベントは経済にインパクトを与えませんか。
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