技術を押し売りするだけではダメ
──創業時から長らく「ブロックチェーンの会社」というイメージの強かったレイヤーエックスですが、現在はもう少し広い範囲を担う「DXの会社」と打ち出しています。
会社として目指す方向や社会に提供したい価値は変わっていない。それは例えば、電子的なタイムスタンプの仕組みを使って証券取引をできるようにしたり、サプライチェーンのトレーサビリティを上げたりするなど、要は紙やハンコを使わずにデジタルなプロセスの中で証拠を残し業務を回せるようにすること。それがここ最近「DX」と呼ばれるようになった。
そこで僕たちも、ブロックチェーンという技術にこだわらずDXを進める会社になる、という意志表示をしたいと。ブロックチェーンは5年後、10年後に必ず普及する技術だと信じているけど、まだ先の話ではある。この半年で現実も見えてきた。「ブロックチェーンやりませんか」と提案しても、現状では正直、実証実験以外まったく進まない。技術を押し売りするだけでは、企業としても成り立たないと感じた。
重要になるのが、特に新型コロナを経て多くの企業が「待ったなし」と実感しているDXだ。単に目の前の稼ぎ口という意味合いだけではない。日本よりブロックチェーンの社会実装が進んでいるアメリカや中国では、その下地としてSaaS(Software as a Service)などデジタルのビジネスソリューションの普及がある。
──日本でもここが進まないと、ブロックチェーンどころではないわけですね。
レベルアップは段階的なものだと思う。ブロックチェーンが真価を発揮するのは、複数の企業間、産業間をまたぐやり取りだ。ただ正直、日本のデジタル化はもっと手前。まずはSaaSなどのソフトウェアを導入する。紙・ハンコを電子的なものに置き換える。これが目の前の課題で、「レベル1」。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら