──コロナ禍は、建築にどのような影響を及ぼしますか。
まず、都市の定義が変わる。
われわれがいま都市と思っているものは、20世紀に米国が定義した都市だ。オフィスや工場といった「大きな箱」を作って、そこに人を集めて効率的に働かせている。
都市へ郊外から人を送り迎えするのも電車や自動車という「鉄の箱」だ。朝や夕方など定時に送り迎えしている。しかし、これは20世紀の米国が定義した都市のスタイルで、たかだか100年ぐらいの歴史しかない。人類の長い歴史からみれば極めて特殊な形態だ。
20世紀になるまで人間は家で働いていた。欧州では雇い主の家で働く形が一般的だった。それが20世紀に入るころ米国で、大きな箱で働く今のような都市型のスタイルに変わってきた。
──日本の都市も同様ですか?
日本が米国のような「大箱都市」になってきたのは第二次世界大戦が終わってからだ。数十年しか経っていない。それまでは日本も欧州のように雇い主の家で働くのが普通だった。大阪の商家や京都の町家のように。
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